2026.07.23
7月

令和8年(2026)7月30日(旧6月17日)広島、厳島神社「管絃祭(かんげんさい)」です。

■7月30日(旧6月17日)広島、厳島神社「管絃祭(かんげんさい)」です。■

安芸国一宮「厳島神社(いつくしまじんじゃ)」は、広島県西部の港町、廿日市市(はつかいちし)の島「厳島(いつくしま)」に鎮座します。1400年の歴史を持つ神社で、全国約500社ある「厳島神社」の総本社です。式内社(名神大)、旧社格は官幣中社、現在は別表神社。御祭神として

「市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)
「田心姫命(たごりひめのみこと)」
「湍津姫命(たぎつひめのみこと)」

の3柱の女神を祀ります。記紀によると、この三女神は「天照大神(あまてらすおおみかみ)」の御子神で、《天照大神(あまてらすおおみかみ)と素戔嗚尊(すさのおのみこと)の「うけい」(誓約)》から生まれました。

三女神を総称して「宗像三女神(むなかたさんじょしん)」と呼びます。「宗像大神(むなかたのおおかみ)」「道主貴(みちぬしのむち)」とも。あらゆる「道」の最高神とされ、「海の神」「航海の神」として航海の安全や交通安全などを祈願しに多くのひとが訪れます。

神仏習合していた時代には、「市杵島姫命」は、仏教の女神「弁財天(べんざいてん)」と習合し、隣接する真言宗の古刹「大願寺(だいがんじ)」と一体となって大伽藍を構成していました。

厳島は、俗に「安芸の宮島(あきのみやじま)」と呼ばれ、「日本三景(にほんさんけい)」(松島、天橋立、宮島)のひとつとして有名です。平成8年(1996)世界文化遺産にも登録されました。

飛鳥時代、土地の豪族「佐伯鞍職(さえきのくらもと)」が、市杵島姫命の神託をうけ、推古天皇元年(593)に創建し、初代神主となりました。そして任安3年(1168)「平清盛(たいらのきよもり)」の援助を得て、「佐伯景弘(さえきのかげひろ)」が現在のような社殿を造営しました。瀬戸内航路を整備し、日宋貿易をすすめていた「平家(へいけ)」にとって「航海の神」への参詣は必須で、厳島神社は平氏の信仰を得ておおいに栄えました。

海を敷地とした大胆で独創的な配置構成であり、「回廊」で結ばれた朱塗りの社殿は「寝殿造(しんでんづくり)」の粋を極めます。古来、宮島は島全体が神の島とみなされていました。島の中央にそびえる「弥山(みせん)」の山は緑濃く、潮が満ちると社殿が海に浮かんでいるように見える様子は、まるで竜宮城を思わせます。

海面にそびえる朱塗りの「大鳥居」(国の重要文化財)は、奈良の大仏とほぼ同じ大きさで、主柱は樹齢500~600年のクスノキで作られています。「千本杭」と呼ばれる工法が用いられていて、根元はマツ材の杭を打って地盤を強化し、箱型の島木の中に石を詰めて加重するなどして、鳥居の重みだけで立っています。現在の大鳥居は、平安時代から数えて9代目にあたるとされ、明治8年(1875)に再建されたものです。

◆管絃祭(かんげんさい)

「管絃(かんげん)」とは、三管両絃三鼓〔※〕(3種類の管楽器、2種類の弦楽器、3種類の打楽器)を用いて合奏する音楽のことで、古く都では池や河川に船を浮かべ、優雅な「管絃の遊び」をしていました。平安時代の宮島は「島そのものが神」と崇められ、信仰の対象とされたため、一般のひとが島内に住むことはできませんでした。そこで平清盛が、三女神が乗る「御座船(ござぶね)」を造り、厳島神社の神事に「管絃の遊び」を取り入れ、三女神に奉奏したと伝わります。

午後3時、厳島神社の本殿で「発輦祭(はつれんさい)」が行なわれます。御鳳輦(ごほうれん:御霊の乗る輿)を管絃船に移し、大鳥居の儀を終えて、船内で管絃を合奏しながら約6km離れた対岸の「地御前神社(じごぜんじんじゃ)」に向かいます。火建岩(ほたていわ)沖に船を停めて提灯に明かりを灯し、地御前神社前の浜辺で祭典と管絃が奉奏されます。

御座船は3隻の小船に引かれ、そのあとに「御供船」が続きます。御供船になると「海上安全、商売繁盛」に良いといわれ、大漁旗を掲げた漁船が瀬戸内各地から集まります。御座船は、船首の左右に「篝火(かがりび)」が焚かれ、20数個の提灯の明かりが灯り、水面に浮かび上がる姿は優美な灯りの屋形となります。

夕刻の日が沈む頃に出御し、深夜、ほぼ満月に近い月明かりが水面を照らすなか、地御前神社から厳島神社まで瀬戸の海の波に揺られながら渡ります。瀬戸内海を舞台に雄大に繰り広げられる幻想的なシルエットは「平安絵巻」を彷彿させます。大阪の「天神祭」、松江の「ホーランエンヤ」とともに「日本三大船神事」のひとつとなっています。

※三管両絃三鼓:
「三管」笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)
「両絃」琵琶(びわ)、箏(そう)
「三鼓」鞨鼓(かっこ)、太鼓、鉦鼓(しょうこ)

厳島神社
◇広島県廿日市市宮島町1-1
◇JR西日本「宮島口駅」、広島電鉄「広電宮島口駅」から船
◇山陽自動車道「廿日市IC」「大野IC」から「宮島口」へ約15分
◇公式サイト:https://www.itsukushimajinja.jp
◆「管絃祭」(宮島観光協会):https://www.miyajima.or.jp/event/event_kangen.html

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

厳島神社の管絃祭は日本三大船神事のひとつです。これを機会に観光にお出かけくださって、平安絵巻をご覧になってください。旧暦6月17日に開かれることから「十七夜祭」とも呼ばれます。
今年も、暑さから熱中症になる方が多いとの報道です。観光にお出かけになる方はくれぐれも暑さ対策をなさってお出かけください。
皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白

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