■5月2日「飛騨の大祭 水無神社例祭」です。■
飛騨国一宮として歴史も古い「水無神社:みなしじんじゃ」の祭神は、御歳大神・天火明命・応神天皇・神武天皇などあわせて16柱で「水無大神:みなしのおおかみ」と総称します。
式内社で、飛騨国一宮の総社。延喜式では小社に列格し、飛騨国の一宮であるとともに総社を兼ねました。鎌倉時代には「水無大菩薩」と称しました。
社名の「水無」は「みなし」、「すいむ」、「みずなし」とも読み、水主の意味です。
水無神社の南西に位置する「位山」は、南に流れる水は飛騨川となり太平洋へ、北に流れる水は神通川となって日本海へと流れる分水嶺で、神代より表裏日本の分水嶺である「位山」に鎮座し、水主、水分の神として崇められ、農耕・殖産祖神・交通守護の神として崇敬されます。
境内に黒馬が祀ってあり、伝承によると、昔この地方で夜な夜な稲を食い荒らす馬がいるので、村人が待ち伏せ後をついて行くと、馬は水無神社の境内に入って行き黒い彫り物に変わりました。
そこで村人は彫り物の黒馬の目を抜いたところ、それから馬は現われなくなったそうです。
この「黒馬」は飛騨出身の名工、左甚五郎幼少の頃の作と伝わります。見事な彫り物にこそ伝わる伝説です。
5月の例祭では、神代踊りや闘鶏楽、獅子舞が奉納され、水無神社とお旅山の間を5百余人の行列が練り歩きます。参拝者には「どぶろく」が振舞われます。
飛騨一宮水無神社
◇岐阜県高山市一之宮町5323番地
◇JR高山本線「飛騨一ノ宮駅」徒歩5分
◇公式サイト:http://minashijinjya.or.jp
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
明治7年~10年まで、島崎藤村の父、島崎正樹が水無神社の宮司をつとめていたそうです。その父をモデルに、小説:『夜明け前』の主人公(青山半蔵)は描かれました。
また、近くの臥龍公園内には、幹枝の形が龍の臥した姿に似ていることから「臥龍桜」と名付けられた桜がそびえます。国指定天然記念物で、幾度の枯死状態から桜を想う人々の心によって、たくましく復活した樹齢1100年の大樹です。
水無神社界隈には多数の名所があります。この時期、臥龍桜は見事な花をつけていることでしょう。
時節柄、土地柄、お体ご自愛専一の程
筆者敬白