2025.08.31
9月
二十四節気

◆二十四節気◆令和7年(2025)9月7日「白露(はくろ)」です。◆

◆二十四節気◆令和7年(2025)9月7日「白露(はくろ)」です。◆

9月7日17時52分「白露(はくろ)」です。旧暦8月、酉(とり)の月の正節で、天文学的には太陽が黄経165度の点を通過するときをいいます。新暦9月7日か8日頃。「秋分」前の15日目にあたります。「白露」は「しらつゆ」のこと。

「二十四節気」による「四季」の区分では、秋の中旬「仲秋(ちゅうしゅう)」〔※〕にあたります。「暦便覧」には「陰気やうやく重りて、露こごりて白色となれば也」とあります。「陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)」によると、「秋」「金(ごん、こん、きん)」の五時で方位は西、色は「白」です。「秋雨(あきさめ)」の時期を表す「露」と五行説での秋色の「白」で「白露」です。

秋は「秋晴れ」の季節でもあり、「秋雨」の季節でもあります。「秋雨」は、8月後半頃から10月頃にかけて降る長雨のこと。「秋の長雨」「秋霖(しゅうりん)」「秋黴雨(あきついり)」とも。秋の長雨をもたらすのが「秋雨前線(あきさめぜんせん)」です。秋雨前線に「台風」からの湿った空気が吹きつけると大雨になることが多いです。

また、特に「秋風(あきかぜ、しゅうふう)」のことを「金風(きんぷう)」と呼びます。五行説で「秋=白」であるため中国では「秋風」を「素風」といったのを、「紀友則(きのとものり)」が「色がない」と表現したことから「色無き風(いろなきかぜ)」という歌語もあります。

吹き来れば身にもしみける秋風を色なきものと思ひけるかな――紀友則『古今和歌六帖』
物おもへば色なき風もなかりけり身にしむ秋の心ならひに――源雅実『新古今和歌集』
石山の石より白し秋の風――芭蕉『おくのほそ道』

※仲秋(ちゅうしゅう):秋は、暦の上では「立秋(8月8日頃)」に始まり、「立冬(11月7日頃)」の前日に終わります。旧暦では「文月(7月)、葉月(8月)「長月(9月)」にあたります。旧暦7月を「初秋(しょしゅう、はつあき)」「孟秋(もうしゅう)」、旧暦8月を「仲秋(ちゅうしゅう、なかのあき)」、旧暦9月を「晩秋(ばんしゅう、おそあき)」「季秋(きしゅう)」と呼び、3つを総称して「三秋(さんしゅう)」です。

「旧暦8月15日」を特に「中秋(ちゅうしゅう)」と呼びます。空気が澄んで月が一年でもっとも美しく見える時期で、この日の夜の月を「中秋の名月」と呼び、眺めて祀る「月見(つきみ)」の風習があります。

冷涼な「秋気(しゅうき)」に気がつくころです。大気が冷えて野草にしらつゆが宿り、秋の気配が濃くなってきます。夏、軒先を飛び交っていた「燕(つばめ)」たちは去っていき、「鶺鴒(せきれい)」が鳴き始めます。

●燕(つばめ):スズメ目ツバメ科。

全長約17cm。背が黒く、赤いノドと額を持つ。飛行する昆虫を空中で捕食します。日本には3月下旬~4月上旬に飛来。繁殖期には「チュビチュビチュビチュルルルル」というさえずり声で鳴きます。民家の軒先など人が住む賑やかな環境に、泥と枯草で巣を作ります。これは、天敵であるカラスやスズメが近寄りにくいからだそう。燕には帰巣性があり、前年と同じ巣に帰り、修繕して利用したり、巣がない場合はその付近の別の個体の巣や前年営巣した付近に巣を作ります。順調にいけば2回の子育てをし、9月から10月にかけて東南アジアに渡ります。

穀物を食べず、水稲栽培で発生する害虫を主食とするため、益鳥として古くから大切に扱われてきました。ツバメを殺したり、巣や雛に悪戯をする事を慣習的に禁じていました。

●鶺鴒(せきれい):スズメ目スズメ亜科セキレイ科。

羽色が鮮やかで、嘴が長い鳥。キセキレイ、セグロセキレイ、ハクセキレイの3種。全長20cm前後の半分は尾。スズメよりやや大きく、ムクドリよりやや小さめで細身です。体は黒白、又は黄と黒色で、尾羽を上下に振りながら歩くのが特徴。山地の川・海岸・水田などの水辺に住み、昆虫などを捕食します。

◆◆七十二侯◆◆

◆初候「草露白」(そうろ しろし):草に降りた露が白く光る。
◇草に降りた露が白く光って見える時節。
◆次候「鶺鴒鳴」(せきれい なく):鶺鴒が鳴き始める。
◇小川や沼などの水辺で鶺鴒が鳴き始める時節。
◆末候「玄鳥去」(げんちょう さる):燕が南へ帰って行く。
◇つばめが南へ帰っていく時節。玄鳥(げんちょう)=つばめの異称。乙鳥(いつちょう)。また、鶴の異称。

◆◆9月の花◆◆

◆彼岸花(ひがんばな)曼珠沙華(まんじゅしゃげ)
ヒガンバナ科。学名:Lycoris(リコリス)。ギリシャ神話の海の女神の名前 Lycoris のこと。原産地中国。別名の「曼珠沙華」は「天上の花」の意。目出度い事が起こる兆しに、赤い花が天から降るという経典に由来。

開花時期は9月15~末日頃。秋の彼岸の頃に、突然茎が伸びてきて、鮮やかな色の花を咲かせ、数日で花が終わって茎だけなります。花のあと葉が伸びてきますが、冬と春を越して夏近くなると消えてしまいます。ですから花と葉を同時に見ることは出来ません。葉のあるときには花はなく、花のときには葉がないことから、韓国では「サンチョ(相思華)」と呼ばれます。「花は葉を思い、葉は花を思う」の意。

花言葉は「情熱」「悲しい思い出」「独立」「再会」「あきらめ」など。

◆金木犀(きんもくせい)
Fragrant olive。モクセイ科。学名:Osmanthus fragrans(オスマンサス)。語源は、ギリシャ語の「osme(香り)+anthos(花)」。原産地は中国南部。

開花時期9月下旬~10月10日頃。花が咲いている間、強い香りを放ち、春の沈丁花(じんちょうげ)、夏の梔子(くちなし)に並びます。開花のあと、風雨があるとあっけなく散ってしまいます。
中国名「丹桂」。丹=橙色、桂=モクセイ類のこと。日本には江戸時代初期に渡来。静岡県の県の木になっています。

花言葉は「謙遜」「真実」「陶酔」「初恋」など。

◆水引(みずひき)
タデ科。学名:Polygonum filiforme。語源はギリシャ語の「polys(多い)+gonu(節)」から。茎の節が膨らんで関節のように見えることに由来。「水引草」(みずひきそう)とも。

開花時期は8月5日頃~10月中旬。上から見ると赤く見え、下から見ると白く見える花を、紅白の水引に見立てたもの。日陰に生えます。葉は時折変わった斑が入ったもの(ふいり)が見られます。

花言葉は「感謝の気持ち」など。

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

「白露」からが9月節です。この時期台風が多く、「八朔(はっさく)」「二百十日」「二百二十日」など、風雨の被害で収穫が影響が出ないようにと暦の上でも用心を促しています。雷も多く、稲の実るころ音もなく光る雷「稲妻(いなづま)」が秋の季語になっているほどです。近年、気候変動により、これまでとは異なる進路をとる台風が上陸したり、線状降水帯が発生したりするなど、より一層注意が必要です。
「夏バテ」の出る時期でもあり、「二日灸」もこの頃です。体調管理には充分気を配りましょう。
読者の皆様、くれぐれもお体ご自愛専一の程
筆者敬白

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