2023.09.25
9月
旧暦
雑節・歴注・撰日

令和5年(2023)9月29日「中秋の名月」です。

■9月29日「中秋の名月」です。■

中秋の名月」は、旧暦8月15日の夜に見られる月のことです。

中秋」とは、秋の真ん中のことを指しています。旧暦7月を「初秋」、8月を「中秋」、9月を「晩秋」といい、8月は最も空が澄んで鮮やかな月が見られることから「中秋の名月」と名付けられました。

吉田兼好は『徒然草』のなかで「秋の月は限りなくめでたきものなり」と綴っています。まず、空気の透明度が増して空が澄みわたり、月が美しく鮮やかに見えますし、暑すぎず寒すぎず、ちょうどよい季節です。くわえて、夏は低く、冬は高かった月の軌道が、中空(ちゅうくう=空のなかほど)の見やすい高さに位置することも鑑賞に適していると言えます。

月々に月見る月は多けれど 月見る月はこの月の月(よみ人知らず)

現在の「お月見」の風習は、中国の「中秋節」観月の宴が起源といわれ、日本には平安時代に伝わったとされ、宮中や貴族の間で「観月の宴」が盛んに催されました。
桂離宮」の書院群や月波楼(げっぱろう)は、観月を楽しむために設計され建てられたといいます。

寛永元年(1624)、八条宮智仁親王(はちじょうのみや としひとしんのう)は、桂離宮で中秋の名月を眺め、「雲は晴れ 霧は消えゆく 四方の岑の 中空清く すめる月かな」と詠んだ。

 

江戸時代になると、武士や町人のあいだでもお月見の行事が広まり、その時期に収穫した農作物を月にお供えし感謝しました。イモ類の収穫を祝うことから「芋名月」とも呼ばれます。

歌川広重「東都名所 道潅山虫聞之図」。十五夜に虫を捕まえにやって来た母娘(手前)。月見酒をやる男たち(右奥)。道灌山(どうかんやま、東京都荒川区西日暮里)は、古くは西に富士山、東に筑波山が見える景勝地だった。

 

中秋の名月は、旧暦で日付が決められているので、現在使用しているグレゴリオ暦では、年によって日付が変わってきます。また、中秋の名月の日が、必ずしも満月になるとはかぎりません。「旧暦15日の月齢」と「満月の月齢」の周期にそれぞれ幅があり、両者が重なったときに満月になるからです。

◇旧暦15日の月齢……旧暦では月の満ち欠け周期の約半分にあたる15日が満月であると考えられていました。旧暦は新月(月齢0.0)となる瞬間を含む日を「一日(ついたち)」とします。一日の初めに新月を迎えるか、それとも一日の終わりに新月を迎えるかによって、旧暦15日の月齢は13.0~15.0の幅を持ちます。

◇満月の月齢……新月から次の新月までの周期は約29.5日です。月が地球の周りを回る軌道がわずかに楕円になっているため、新月から満月までの日数は13.9~15.6日と、幅があります。

ですから、「旧暦15日の月齢の範囲」が「満月になりうる月齢の範囲」に重なる時のみ「十五夜」が満月ということになります。

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

月は楕円運動をしているので、どこで満月になるかによって見かけの大きさが違ってきます。令和5~7年(2023~25)は比較的大きな名月が見られるとのこと。
そして、令和5年(2023)の「中秋の名月」は「満月」となりました。

日暮れどきは急に冷え込んでくる季節です。お月見と洒落こむ夜は羽織ものを一枚忘れずに。
皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白

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