2025.09.29
10月
旧暦
雑節・歴注・撰日

令和7年(2025)10月6日「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」です。

■10月6日「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」です。■

「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」は、旧暦8月15日の夜に見られる月のことです。「中秋」とは、秋の季節の真ん中のことを指します。

「中秋」と同じ読み方の「仲秋(ちゅうしゅう)」という言葉がありますが、これは、秋を3分割した「初秋・仲秋・晩秋」の真ん中、つまり「旧暦8月」にあたります。音は同じですが「仲秋の名月」とは書きません。

月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月 ―― よみ人知らず

現在の「お月見(おつきみ)」の風習は、古代中国の「中秋節(ちゅうしゅうせつ)」で行なわれていた「観月の宴」が起源といわれています。日本には平安時代に伝わったと考えられ、宮中や貴族のあいだで「観月の宴」が盛んに催されました。「桂離宮(かつらりきゅう)」の書院群や「月波楼(げっぱろう)」は、観月を楽しむために設計され建てられたといいます。「月波楼」は、中国唐代の詩人「白居易(はくきょい)」の『春題湖上』の一句「月点波心一顆珠」(月は波心に点じ一顆の珠)にちなんで名付けられたそうです。

 

寛永元年(1624)、八条宮智仁親王(はちじょうのみや としひとしんのう)は、桂離宮で中秋の名月を眺め、「雲は晴れ 霧は消えゆく 四方の岑の 中空清く すめる月かな」と詠んだ。

 

江戸時代になると、武士や町人のあいだでもお月見が盛んに行なわれるようになり、その時期に収穫した農作物を月にお供えし感謝しました。とくに芋類の収穫を祝うことから「芋名月(いもめいげつ)」ともいいます。

歌川広重「東都名所 道潅山虫聞之図」。十五夜に虫を捕まえにやって来た母娘(手前)。月見酒をやる男たち(右奥)。道灌山(どうかんやま、東京都荒川区西日暮里)は、古くは西に富士山、東に筑波山が見える景勝地だった。

 

中秋の名月は、「旧暦」をもとに日にちが決まるので、現在使用されている「グレゴリオ暦」では、年によって日にちが変わります。また、中秋の名月の日が、必ずしも「満月(まんげつ)」になるとはかぎりません。「旧暦15日の月齢(げつれい)」と「満月の月齢」の周期にそれぞれ幅があるため、両者が重なったときのみ満月になります。

◇旧暦15日の月齢:旧暦では月の満ち欠け周期の約半分にあたる15日が満月であると考えられていました。旧暦は「新月(しんげつ:月齢0.0)」となる瞬間を「朔(さく)」といい、朔を含む日を「一日(ついたち、朔日)」とします。一日の初めに新月を迎えるか、一日の終わりに新月を迎えるかによって、旧暦15日の月齢は13.0~15.0の幅を持ちます。

◇満月の月齢新月から次の新月までの周期は約29.5日です。月が地球の周りを回る軌道がわずかに楕円になっているため、新月から満月までの日数は13.9~15.6日と幅があります。

このため、「旧暦15日の月齢の範囲」が「満月になりうる月齢の範囲」に重なる時のみ「十五夜(旧暦8月15日夜)」が満月ということになります。

 

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

月は楕円運動をしているので、どこで満月になるかによって見かけの大きさが違ってきます。令和5~7年(2023~25)は比較的大きな名月が見られるとのこと。令和7年(2025)の「中秋の名月」は「満月」の1日前の夜の月となりました。
日暮れどきは急に冷え込んでくる季節です。お月見と洒落こむ夜は羽織ものを一枚忘れずに。
皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白

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