■10月29日 福岡、香椎宮(かしいぐう)「例祭」です。■
「香椎宮(かしいぐう)」は、仲哀天皇9年(200)神功皇后(じんぐうこうごう)が自ら祠を建て、仲哀天皇(ちゅうあいてんのう)の神霊を祀ったのが起源と伝わります。四柱の御神体である仲哀天皇、神功皇后、応神天皇(おうじんてんのう)、住吉大神(すみよしおおかみ)を御祭神として祀ります。
「香椎」の名は、敷地内に香ばしい香りの「棺懸(かんかけ)の椎」が立っていたことに由来。また一説には、仲哀天皇が熊襲征伐のため筑紫に行った際、土地の人々が香ばしい椎の菌(シイタケ)を献じたことからとも言われています。境内には、仲哀天皇の筑紫の行宮(あんぐう)であった「橿日宮(かしひのみや、訶志比宮)」の跡地があり、そこには御神木「香椎」が立っています。
養老7年(723)神功皇后自身の神託により、朝廷が社殿の造営を始め、翌年の神亀元年(724)に竣工しました。この2つの廟をもって「香椎廟」とします。延喜式神名帳の記載はありませんが、『日本書紀』の続編とされる『続日本紀』などには「香椎廟」「香椎宮」「樫日廟」などと書かれています。
神功皇后自らが植えられたという御神木「綾杉(あやすぎ)」は「ちはやふる香椎の宮のあや杉は神のみそきにたてる成けり」(新古今和歌集)と詠まれた老木です。
◆勅祭社(ちょくさいしゃ)
明治時代に官幣大社となり、終戦までは勅祭社に指定され、現在でも10年に1度「吉日」を選定し、宮内庁より勅使が遣わされています。皇室の崇敬篤く、三重の伊勢神宮、京都の石清水八幡宮、福井の氣比神宮とともに「四所宗廟(ししょそうびょう」「本朝四所」のひとつに数えられます。
秋の「例祭」は、宮中(天皇陛下)御献納の神饌幣帛料を捧げ、平和と幸福を祈る最も重大な神事で、10月29日に斎行されます。
令和6年(2024)、香椎宮は1300周年を迎えます。前年に国の重要文化財の本殿の修理が終わり、秋の例祭の日に「創建1300年記念祭」が行なわれます。
香椎宮
◇福岡県福岡市東区香椎4-16-1
◇JR「香椎神宮駅」徒歩4分
◇JR「香椎宮前駅」徒歩12分
◇福岡都市高速「香椎浜ランプ」約10~15分
◇公式サイト:https://kashiigu.com
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
香椎宮には不老不死の「不老水(ふろうすい)」が湧く水源があります。武内宿禰(たけしうちのすくね、たけうちのすくね)が、この湧水を仲哀天皇、神功皇后への料理に使い、自分の食事やお酒を作るのにもこの水を使っていました。そのおかげか武内宿禰は300歳とも360歳ともいわれるほど長寿だったと伝わります。
◆環境省 名水百選(昭和60年選定)「不老水」:https://water-pub.env.go.jp/water-pub/mizu-site/meisui/data/index.asp?info=83
◆「不老水」(福岡県観光WEB):https://www.crossroadfukuoka.jp/spot/12594
湧水は香椎宮本殿から住宅街を経て山の手へ徒歩13分ほど行ったところにあり、水源には祠が建てられています。参詣の際には是非お持ち帰り下さい。開門時間は10:00~15:00。1グループ(1家族)2Lペットボトル2本までだそうです。
筆者敬白