■10月20日「誓文払い(せいもんばらい)」です。■
「誓文払い(せいもんばらい)」の始まりは、旧暦10月20日の「戎講(えびすこう)」の日に、京都の商人や遊女が四条寺町(しじょうてらまち)にある四条京極の「官者殿(かんじゃでん、冠者殿)」〔※〕に参詣し、商売上の駆引きで客を欺いた罪を払い神罰を免れるため祈った風習や行事からとされています。
※官者殿、冠者殿(かんじゃでん)
「誓文返しの神」で、天照大神(あまてらすおおみかみ)と素戔鳴尊(すさのおのみこと)の間に誓約(うけひ)が交わされたことに由来しています。または「悪王子の社(あくおうじのやしろ)」〔※〕ともいい、土佐房昌俊(とさのぼうしょうしゅん、平安時代末期の僧兵・武将。?~1185)を祀るとも伝わります。
江戸時代、この日に商人の代理として「乞食坊主」〔※〕が垢離(こり)〔※〕をとる独特の風習がありました。「すたすた坊主」とも。
※悪王子の社(あくおうじのやしろ)
素戔嗚尊(すさのおのみこと)の荒魂〔※〕で、荒魂を祀る悪王子社(京都市下京区東洞院四条下ル西側元悪王子町)があった場所が町名として呼ばれるようになりました。
※垢離(こり)
神仏に詣でるときや祈願に先だって、水にて身心の罪穢を除き清めるための禊(みそぎ)の一種。「水垢離(みずごり)」「垢離掻(こりかき)」などともいいます。
※乞食坊主(こじきぼうず)
金品をもらった物乞い。上方や江戸で、寒中、裸で縄の鉢巻をし、腰に注連縄(しめなわ)を巻き、手に扇と錫杖(しゃくじょう)を持って、銭五七文を串に貫き、わりかけの竹にはさんで振りならしながら「すたすた、すたすた、すたすたぼうずのくるときは、腰には七九のしめをはり、あたまにしっかと輪をはめて」などと歌いながら踊り、家ごとに立寄って物乞いをして歩いた坊主(僧侶ではない)。
※荒魂・和魂(あらたま・にぎみたま)
魂には荒魂(あらたま)と和魂(にぎみたま)の側面があるとされ、和魂にはさらに幸魂(さきみたま)、奇魂(くしみたま)のふたつの象意が現れるとされます。荒魂は荒ぶる魂で、勇猛果断、義侠強忍等に妙用され、神威(しんい)を畏(おそ)れるとされます。
やがて、「誓文払い」は10月20日の恵比寿祭を中心に行われる商家の「蔵ざらえ」に変化しました。江戸時代になると京都・大坂の商店が安売りを行なったところから、商店の売出し行事となり、京坂だけでなく全国に広がりました。現在では日数も1週間程度に延長されており、時期も地域によりまちまちです。
「誓文(せいもん)」とは、神に誓う誓詞(せいし)・起請文(きしょうもん)のこと。嘘偽りの罪を払い、神の罰を免れようとするのが「誓文払い」です。誓文払いはもともと恵比寿祭とは別のものでしたが、同じ日に行われるため、いつしか混同したものです。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
この日は商売上の嘘偽りや人を騙したりした穢れ(けがれ)を祓う(はらう)日とされています。不動産業は1000に3つのホントで「千三つ(せんみつ)」と呼ばれます。しっかりと誓文払いをしないといけませんね。
暦の上では季節の変わり目です。体調を崩しやすい時期です。時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白