■10月5日「達磨忌」です。■
「達磨忌」は、達磨大師(だるまだいし)の命日です。達磨(だるま)といえば、お寺やお宮の縁起物として人気ですが、何度転んでも起き上がるので「縁起」としたとか。養蚕地方では、春蚕(はるご)が当たると達磨の片目を入れ、秋蚕(あきご)も良いともう片方の目を入れる風習があります。
「だるま」はサンスクリット語で「法」の意。「達摩」とも表記されます。正式名称は「菩提達磨大師(ぼだいだるまだいし)」。達磨祖師、達磨大師とも。
5世紀後半から6世紀前半、南印度王国の第三王子として生まれ、中国で活躍した仏教の僧侶で、中国禅の開祖。釈迦から数えて28代目とされています。印度から中国南方へ渡海し、洛陽郊外の嵩山少林寺(すうざんしょうりんじ)にて面壁(めんぺき)を行いました。事績、言行を記録した語録とされる『二入四行論(ににゅうしぎょうろん)』は、達磨に関する最も古い語録で達磨伝説の原形であるといわれます。
面壁九年(めんぺきくねん)の座禅によって、手足が腐ってしまったという伝説から、玩具としてのだるまが出来上がりましたが、不屈の坐禅修行と150歳の長寿にあやかって、赤い達磨の人気は絶えません。
この日、達磨大師忌日の法要が行われます。永平寺(福井県)では、午時に献供諷経(けんぐふぎん)修行が行われ、午後より達磨講式が勤められます。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
その昔、梁の武帝と達磨大師との間で交わされた問答は以下の様に伝えられています。
如何なるか是れ聖諦第一義。 (「仏法の根本義とは何でしょうか」)
磨云く、廓然無聖。 (達磨曰く「カラリと晴れ渡った大空のように、聖など何もない」)
帝云く、朕に対する者は誰そ。 (帝曰く「一体、私の前にいるあなたは誰なのでしょうか」)
磨云く、不識。 (達磨曰く「そんな事は知らない」)
「喝」「無」など禅の基本は、達磨大師から発し、禅を形成したと伝わります。世知辛い現代社会で心には「無」の境地を保ちたいものです。
時節柄、お体ご自愛専一の程
筆者敬白