■10月1~5日 京都、北野天満宮「瑞饋祭(ずいきさい)」です。■
「北野天満宮(きたのてんまんぐう)」は、平安中期に多治比文子(たじひのあやこ、道真公の乳母とされる)らによって北野の右近馬場(うこんのばば)に「菅原道真公」の御霊をお祀りしたのが始まりとされます。
道真公は「和魂漢才(わこんかんさい)」の精神を以って学問に勤しみ、幼少の頃より文才を表し、朝廷の官吏として活躍しました。
※和魂漢才(わこんかんさい):「和魂」とは、わが国固有の精神のことで、「漢才」とは漢字によって得た知識や才能のこと。日本固有の精神と中国渡来の学問。和魂漢才は、日本固有の精神を失わないで、中国の学問を教養として学び活用するべきという考え方のことです。
永延元年(987)一条天皇の令により、初めて勅祭が執り行われ「北野天満宮天神」の神号(しんごう:神の称号)を得ました。
寛弘元年(1004)の一条天皇の行幸を初めてとし代々皇室の御崇敬を受けました。江戸時代には寺子屋の精神的背景として菅原公がお祀りされ、「天神様」として親しまれ、学問の神様として現在まで受け継がれています。
◆瑞饋祭(ずいきさい)
「瑞饋祭(ずいきさい)」は、京都の秋祭りの先陣を切って10月1日から5日間にわたり行われます。名称の由来は、奉安される「ずいき御輿(みこし)」からです。菅公が大宰府で彫られた木像を随行のものが持ち帰っておまつりし、秋の収穫時に野菜や穀物をお供えして感謝を捧げたことが始まりと伝わります。明治に入り、神幸祭(しんこうさい)が取り入れられました。
「ずいき神輿」とは、野菜、乾物等で趣向をこらした神輿のことで、期間中は御旅所(おたびしょ)に奉られます。かつて「北野祭(きたのまつり:9月の例祭)」にお供えとして奉られた野菜を一基の大型神輿として作り飾りつけます。屋根はずいき(里芋の茎)で葺(ふ)かれ、神輿の各部に隙間なく穀物や蔬菜(そさい:野菜のこと)・湯葉・麩などの乾物類で覆われます。
10月1日の「神幸祭」で祭神の御霊(みたま)を御鳳輦(ほうれん=屋根に鳳凰の飾りのある天子の車)にて本社より西ノ京の御旅所にお遷しし、2~3日目は御旅所にて八乙女舞(やおとめまい)の奉納や献茶祭などを斎行。4日の「還幸祭(かんこうさい)」で本社に戻ります。
還幸祭は特別の意味を持ち、単に「巡行を終えた天神様が本社に御帰りになる」というだけでなく、「大宰府で御隠れになった菅原道真公の御霊が神様として初めて北野の地においでになる」という由来を回顧し再現するという意味もあります。
還幸祭が行われる4日には、親類縁者を招いて御馳走を作り、晴れ着をきて、行列に供奉したり、沿道から御輿を拝んだりします。年に一度、御鎮座を思い致し、御神霊を「お迎えする」ことで、あらためて天神様に感謝する心を育んでいます。
北野天満宮
◇京都府京都市上京区馬喰町
◇市バス「北野天満宮前」下車すぐ
◇嵐電「北野白梅町」駅、徒歩約7分
◇公式サイト:https://kitanotenmangu.or.jp