■11月22~23日 熊本「八代妙見祭(やつしろみょうけんさい)」です。■
熊本県八代市の「八代神社(やつしろじんじゃ)」の祭神は「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」「国常立神(くにのとこたちのかみ)」です。
後鳥羽天皇の勅願により文治2年(1186)八代平野(やつしろへいや)に「妙見宮(みょうけんぐう)」が創建されました。むかし漢土(かんど=中国)の白木山神が目深・手長・足早となり、明州の津より亀蛇(きだ)に駕して(がして=乗って)天武朝の白鳳9年(680)に来朝し、八代郡土北郷白木山八千把村の竹原の津に着岸、3年仮座、次いで益城郡小熊野郷千代松ヵ峰に移ったのち、八代郡横嶽(上宮)に鎮座したと伝わります。
明治4年(1871)、「八代神社」に改称。現在の建物は、元禄12年(1699)と寛延2年(1749)に改築されたもので、社殿は県指定の重要文化財。入母屋造(いりもやづくり)の屋根の正面には千鳥破風(ちどりはふ)が設けられ、これらの妻飾り(つまかざり)には彫刻が数多く使用され、江戸時代中期から後期にかけての社寺建築の特徴をよくあらわしています。
「妙見信仰」とは、北極星あるいは北斗七星を崇拝する信仰で、妙見信仰を持つ文化集団が、中国大陸から永住の地を求めて八代に上陸したと歴史書に記されています。「北極星」あるいは「北斗七星」は、天の中心の星であり「天帝の星」とも。四神のひとつ「玄武」は北の守護神で、北は水を意味し、北斗七星も柄杓の形をした司水の神さまでもあります。
◆八代妙見祭
11月中旬に行われる八代神社の秋の大祭「妙見祭(みょうけんさい)」は、長崎の「諏訪神社おくんち」、福岡の「筥崎宮放生会(はこざきぐう ほうじょうや)」とともに九州三大祭りのひとつに数えられています。
神輿渡御式の際に約5mの「亀蛇(きだ)」が首を振りながら道を清めて歩くことで有名です。神幸行列には、花奴(はなやっこ)・神輿・笠鉾(かさほこ)・獅子舞などを伴って行列し、最後に飾り馬・神馬(しんめ)が駆けます。獅子舞は中国色の強い珍しいもの。
神事の神幸行列は、国の重要無形民俗文化財に指定。平成28年(2016)には「山・鉾・屋台行事」のひとつとしてユネスコの無形文化遺産に登録されました。
八代神社
◇熊本県八代市妙見町405
◇JR「八代駅」バス「宮地」下車すぐ
◇九州自動車道「八代IC」5分
◇「八代神社」(八代観光ポータルサイト):https://www.kinasse-yatsushiro.jp/spots/detail/3
◆「八代妙見祭」公式サイト:https://myouken.com
◆「八代妙見祭 多言語音声ガイド」:https://8246.kinasse-yatsushiro.jp/myoken/
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
妙見信仰は一種独特の信仰で仏教にも古神道にも少なからぬ影響を与えているようです。修験道や山岳信仰、役行者、密教、日蓮宗などとの関係もみられます。「四神相応図」によると、北は玄武の守護で色は黒、水を司るとされています。九星では水気(一白水星)の人の守護です。
発祥はともかく九州三大祭りに数えられています。祭礼の行列は中国のイメージが強く文化伝来の経路を表しているようです。
日が沈むとめっきり寒くなります。お出掛けの際には、お風邪など引かないように厚めの上着をお召し下さい。
時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白