2024.11.04
11月

令和6年(2024)11月11日(11月の卯の日)京都、松尾大社「上卯祭(じょううさい)」です。

■11月11日 京都、松尾大社「上卯祭(じょううさい)」です。■

「松尾大社(まつのおたいしゃ、まつおたいしゃ)」は、平安遷都により皇城鎮護の神として崇敬され「賀茂の厳神、松尾の猛霊」と並び称されました。延喜式では名神大社に列し、のちに二十二社の一社となりました。旧称は松尾神社、旧社格は官幣大社。

主祭神に「大山咋神(おおやまぐいのかみ)」「中津島姫命(なかつしまひめのみこと=市杵島姫命(いちきしまひめのみこと))」を祀ります。本殿(重文)は「松尾造」「両流造(りょうながれづくり)」と呼ばれる珍しい建築様式で、天文11年(1542)に改築されたものです。宝物として等身大の木造男神坐像2体、木造女神坐像1体(ともに重文)は、我が国最古の神像のひとつとされています。

社の背後「松尾山(まつのおやま)」(標高223m)には松尾社の古社地があり、山頂に近い大杉谷には磐座(いわくら:信仰の対象となる岩、神の在所)とされる巨石があります。5世紀の頃の渡来人「秦氏」が山城国一帯に居住し、松尾山の神「大山咋神(おおやまぐいのかみ)」を氏神としました。大山咋神は「亦の名は山末之大主神(やますえのおおぬしのかみ)。此の神は近淡海国(ちかつおうみのくに=近江)の日枝の山に坐し、亦葛野の松尾に坐して、鳴鏑(なりかぶら)を用つ神ぞ」(『古事記』)と伝わります。

秦氏は酒造の技術も伝えたことから、松尾神は酒造の神としても篤く信仰されるようになりました。天平5年(733)に、社殿背後より泉が湧き出た際「この水で酒を醸すとき福が招来し家業繁栄する」との松尾の神の御宣託があったことに由来します。社殿背後に湧く「亀の井(かめのい)」の水を酒の造り水に混ぜて使うこともあるそうです。酒造家だけでなく、醤油・味噌・酢等の製造販売業者から尊崇されています。

◆上卯祭(じょううさい、醸造祈願祭)

「上卯祭(じょううさい)」は、毎年11月「上の卯の日」に執り行われる醸造の安全祈願のお祭りです。「卯(う)」の字は甘酒、「酉(とり)」の字は酒壺を意味し、古来より酒造りは卯の日に始め、酉の日に完了する習わしがあります。

上卯祭当日は、全国の和洋酒、味噌、醤油、酢等の醸造業はもとより、卸小売の人々も参集して盛大に醸造安全を祈願し、大木札(だいもくさつ)を受け、それを持ち帰って各々の蔵に奉斎します。また、神前には数々の銘酒・醤油等の御供えがされます。4月「中の酉の日」には、醸造完了を感謝する「中酉祭(ちゅうゆうさい)」が執り行われます。

松尾大社
◇京都府京都市西京区嵐山宮町3
◇阪急電車「松尾大社駅」
◇JR「京都駅」から市バス「松尾大社前」
◇公式サイト:https://www.matsunoo.or.jp

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

もともとよい水と、お酒の神様として有名な松尾大社です。上卯祭には、全国から杜氏(とうじ)の一行が集まるそうです。科学万能の現代でも、魂を込めることで、一層のおいしさを引き出す醸造方法はやはり経験と勘どころがものを言います。このまま引き継いでいってもらいたいものです。
11月は立冬です。京都にある神社の例祭、大祭が目立ちます。紅葉がきれいな時期です。京都詣でで秋を満喫なさってください。すぐそこに冬の足音が聞こえます。
読者の皆様、時節柄お身体ご自愛専一の程
筆者敬白

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