■11月13日(旧10月亥の日)「炉開き(ろびらき)」です。■
茶室では、春から半年間使った「風炉(ふろ)」を仕舞い、「炉(ろ)」を開きます。
「炉」とは、茶室の畳を切って五徳を入れて炭を組む小さな「いろり」のことです。11月から4月まで使用されるものを「炉」、5月から10月頃まで使用されるものを「風呂」といいます。風呂は、暑い季節に狭い茶室の温度が高くなりすぎないように、炭を入れるための金属製の容器のことです。
炉開きに合わせて、その年5月に摘まれた「新茶」を使い始めます。茶壷の口を切って使い始めるので「口切り」ともいいます。
炉を開いて新しい季節を迎え、新茶の入った壷を開けるこの時期を、お茶の世界では「茶人の正月」として祝います。昔は茶壷を床の間に飾り、お正月と同じように客を茶室に招き、新茶を味わい祝ったそうです。
そもそも炉開きとは、明治の中頃まで、旧暦10月の亥の日、炉や炬燵(こたつ)を開いて、来客にも火鉢を出すという一般的な習慣でした。いまでは新茶の口を切って客人をもてなすお茶の世界の一大イベントになっています。
◇「炉開き」は冬の季語です。
「炉開きや仏間に隣る四畳半」夏目漱石
「炉を開く二番亥の子の暖き」高浜虚子
「炉をひらく火のひえびえともえにけり」飯田蛇笏
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
日本にお茶のが伝わったのは、京都の「臨済宗建仁寺」を開いた「栄西禅師」が宋の国から持ち帰った苗が始まりだそうです。建仁寺の勅使門には応仁の乱のときに放たれた弓矢の痕が残っています。「炉開き」に際して悠久の歴史を垣間見てみるのも、心の余裕の一つかもしれません。
朝夕が冷え込む季節です。
お風邪などお召しにならない様お体ご自愛専一の程
筆者敬白