2024.11.19
11月
記念日・~の日・~週間

令和6年(2024)11月28日「税関記念日(ぜいかんきねんび)」です。

■11月28日「税関記念日」です。■

税関の歴史は日本の交易の歴史と共にあります。江戸時代は長崎が唯一の国際港だったので、元禄11年(1698)に「長崎会所(ながさきかいしょ)」が設置され、貿易に関する一切の管理をするようになりました。

▼日米和親条約
幕末の安政元年(1854)に結ばれた日米和親条約を皮切りに、我が国は諸外国に対し次々に港を開き外国船が入港できるようにしました。
安政6年(1859)、長崎、神奈川及び箱館(函館)の港「運上所(うんじょうしょ)」が設けられ、今日の税関業務と同様の輸出入貨物の監督や税金の徴収といった運上業務や、外交事務を取り扱うことになりました。これが現在の税関の前身です。

▼「運上所」を「税関」に
明治5年(1872)11月28日、それまでの「運上所」を「税関」と改称することが決まりました。これを記念して11月28日は「税関記念日」になっています。昭和27年(1952)に大蔵省(当時)が制定しました。税関の場所が大きな貿易港にあるのは、このような歴史的な背景があります。

 

■函館税関 安政6年(1859)設置――箱館運上所。北海道・北東北3県を管理。戦前は樺太も管理していました。
現在の支署は稚内・留萌・札幌・小樽・根室・釧路・苫小牧・室蘭・青森・八戸・秋田船川・宮古・大船渡 ※秋田船川支署は以前は新潟税関の支署でした。

■横浜税関 安政6年(1859)設置――神奈川運上所。神奈川県から宮城県までの太平洋岸を管理。
現在の支署は塩釜・仙台・小名浜・鹿島・千葉・川崎・横須賀。

■東京税関 昭和28年(1953)独立。昭和28年に横浜税関から独立し、昭和30年(1955)に新潟税関およびその酒田支署を合併しました。慶応3年(1867)に幕府が東京運上所を設置しましたが、のちに消滅しています。
現在の支署は新潟・酒田・成田で、東京・埼玉・群馬・山梨・新潟・山形の6都県を管轄しています。
千葉県は基本的には横浜税関の管轄なのですが、成田空港関連施設だけは東京税関が担当しています。

■大阪税関 慶応3年(1867)設置――川口運上所。大阪・京都・和歌山および北陸3県を管轄しています。
現在の支署は和歌山・関西空港・堺・京都・舞鶴・敦賀・金沢・伏木。

■名古屋税関 昭和12年(1937)独立。明治40年(1907)に大阪税関名古屋支署として発足。昭和12年(1937)に独立。東海地区を管轄。現在の支署は、清水・豊橋・中部空港・四日市。
豊橋支署はトヨタのためにあるような税関といえます。

■神戸税関 慶応4年(1868)設置――兵庫運上所。横浜と並ぶ大国際港・神戸と共に発展した税関。兵庫県だけでなく、中国地方の大部分と四国地方を管轄しています。
現在の支署は姫路・尼崎・境・浜田・宇野・水島・福山・広島・呉・小松島・坂出・新居浜・今治・松山・高知。異様に支署の多い区域です。

■長崎税関 元禄11年(1698)設置――長崎会所。江戸時代初期からある日本最古の税関。九州全域から山口県までを管轄していましたが、昭和28年(1953)に門司税関を分離しました。
現在の担当地域は九州西部4県で、支署は佐世保・三池・八代・鹿児島です。

■門司税関 昭和28年(1953)独立。門司港・福岡港の取扱量が多いため、昭和23年(1953)に長崎税関から独立し、九州の東部3県と山口県を管轄しています。
現在の支署は岩国・徳山・宇部・下関・戸畑・博多・福岡空港・伊万里・厳原・細島・大分。

■沖縄地区税関 昭和26年(1951)設置――琉球税関。明治19年(1886)に長崎税関の西表支署が設置され、明治27年(1894)には那覇支署も開設されていました。戦後アメリカにより、昭和26年(1951)琉球税関と名瀬支署が設置されますが、名瀬は奄美の日本復帰に伴い長崎税関の管轄に移行。沖縄本土復帰後の昭和47年(1972)に沖縄地区税関が設置されました。
現在の支署は沖縄・那覇空港・石垣。沖縄支署というと紛らわしいのですが、沖縄市にある支署のことです。

島国日本の、文字どおり「水際」を守るのが税関です。税関の主な役割は、そこを通過する物品の検査と必要に応じて税金(関税)を徴収することです。
税関の歴史は江戸時代に遡ります。一貫して継続されている機関のひとつが税関で、長崎税関は300年以上の歴史があります。令和4年(2022)は「運上所」が「税関」となってから150周年の節目の年でした。

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

主な港および空港には、税関と入国管理局などが設置されています。輸入された物を扱うのは税関で、管轄は当然「財務省」です。人間の方の出入国の検査は「法務省」の入国管理局が行っています。
私たちが個人輸入したような場合、多くは国内の配送を担当する会社が税関で関税を代行払いしてくれて、品物を受け取る時に一緒に払うことが多いです。
税関と入国管理局は外務省の管轄ではないのかと勘違いする人は少なくないようです。ここにも縦割り行政が存在していて、貨物コンテナに密航者がいた場合には入国管理局か税関かと迷いますが、所轄警察の管轄で身柄は入国管理局になるんだそうです。

もうすぐ師走です。寒い日が続きます。皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白

この記事をシェアする
   

関連記事

人気のタグ

  • その他人気タグ: