■11月11日「八専(はっせん)」終了です。■
暦の上で「十干:じゅっかん」「十二支:じゅうにし」を、「五行説:木火土金水」に当てはめると、干支ともに同じ気が重なるものが12日あります。そのうちの8日が「壬子~癸亥」の12日間に集中していて、特別な意味を持つ期間とされました。同じ気が重なることを「専一」と言いい、それが8日あることから「八専」と呼びます。八専の期間には同気の重ならない日が4日あり、これを「八専期間中の間日(まび)」と呼びます。
1日目/壬子 =水水、 ←水の気が重なる
2日目/癸丑 =水土、 間日(まび)
3日目/甲寅 =木木、 ←木の気が重なる
4日目/乙卯 =木木、 ←木の気が重なる
5日目/丙辰 =火土、 間日(まび)
6日目/=火火、 ←火の気が重なる
7日目/戊午 =土火、 間日(まび)
8日目/己未=土土、 ←土の気が重なる
9日目/庚申 =金金、 ←土の気が重なる
10日目/辛酉 =金金、←土の気が重なる
11日目/壬戌 =水土、間日(まび)
12日目/癸亥 =水水、←水の気が重なる
八専の期間は「天干てんかん」と「地支:ちし」が同じ気なので、気が偏って良い事はますます良く、悪いことは更に悪く傾きやすくなります。これは、振幅の激しい期間で、準備を怠らなかった人には良い結果が、場当たり的な対応をした人にはそれなりの結果が訪れます。
古代中国では、むしろすべてのことに良いとされていて「淮南子:えなんじ」※には「専を以て干支(えと)に従えばすなわち功あり」と記されています。八専の期間中は、天地が朦朧(てんちがもうろう)として、人間社会でもバランスが取りづらくなります。人間関係では些細なことで思わず亀裂が入ったりします。他にはギャンブルなど、努力が伴わない行動は避けましょう。
※十二支(じゅうにし):十二支(じゅうにし)とは、子(ネズミ)・丑(牛)・寅(トラ)・卯(うさぎ)・竜(龍)・未(蛇)・午(馬)・羊(ヒツジ)・申(サル)・酉(にわとり)・戌(犬)・猪(いのしし)の12種の動物を現す漢字のこと。同様に「十干:じっかん」※と組み合わせることで、60を1周期とする「干支:えと」を形成し、方角や時間、暦に用いられる。また、陰陽五行説と組み合わせることで卦(け)にも応用されるようになった。
※十干(じっかん):木・火・土・金(ごん)・水の五行(五行)を兄(え)・弟(と)に分けたもの。年・日を現す。甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)十二支と組み合わせて使う。
※五行(ごぎょう)五行思想(ごぎょうしそう)五行説(ごぎょうせつ):古代中国に端を発する自然哲学の思想。万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなるという説である。また、5種類の元素は「互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環する」という考えが方が根底にある。西洋の四大元素説(四元素説)と比較される東洋思想
※間日(まび):八専のうち、癸丑・丙辰・戊午・壬戌の4日間を、八専の間日(まび)といいます。間日は八専の影響を受けづらい日です。八専は年に6回程あります。
※天干(てんかん):十干(じゅっかん)とも呼ぶ。古代中国の数詩で時間と空間を現わすのに使用した。殷(いん)代(紀元前十五世紀~紀元前十一世紀)頃の甲骨文字に記載がある。五行の「木」「火」「土」「金」「水」が、陰陽それぞれに分かれたもので、「甲」「乙」「丙」「丁」「戊」「己」「庚」「辛」「壬」「癸」の十個に分けられる。
※地支(ちし):十二支(じゅうにし)とも呼ぶ。「子」「丑」「寅」「卯」「辰」「巳」「午」「未」「申」「酉」「戌」「亥」の総称である(それぞれ音訓2通りの読み方がある)。十干を天干というのに対して、十二支を地支(ちし)ともいう。
※淮南子(えんんじ):中国前漢時代の皇族で、学者でもある「淮南王劉安」(えなんおうりゅうあん・紀元前179年~紀元前122年)が、学者を集めて編纂させた思想書
◇◇◇◇編集後記◇◇◇◇
「八専の終了」です。八専始め「壬子=水と水」八専終わり「癸亥=水と水」でわかるように、水の気が始めと終わりにあるので、雨が多い期間とされています。
「八専」は準備期間と言い換えられます。皆様、何らかの判断をして、これを機会に新しい計画を立てるなど、八専の作用を存分に活用すれば、物事が確実に成就していきます。今のところ逆境にある方が、八専の期間に一大決心をすると、大自然が味方になって良い作用が発現した例を数多く聞き及びます。
「八専」年に5~6回あります。今回の八専を逃してしまった方は次回には志を立てましょう。天と地が味方してくれます。
体調を崩しやすい時期です。皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白