2022.05.16
5月

令和4年(2022)5月19日 奈良、唐招提寺 団扇まき です。

■5月19日「奈良、唐招提寺 団扇まき」です。■

kt13_12.jpg律宗総本山「唐招提寺:とうしょうだいじ」は、南都六宗の一つ。「律宗:りっしゅう」は、戒律の研究と実践を行う仏教の一宗派です。
 
中国では、正式な僧となるためには「戒律」を修めなければなりません。そのため、古くから研究が行われ、唐代には南山律宗を開いた「道宣:どうせん」(596~667)が「戒律学」を大成し、その孫弟子である「鑑真:がんじん」は、留学僧の要請で日本に律を伝えたとされています。
 
120502_70.jpg鑑真」(688~763)は、唐の揚州江陽県に生まれ、14歳で出家し、律宗・天台宗を学びます。四分律に基づく南山律宗の継承者で、4万人以上の人々に授戒を行ったとされています。
 
東大寺に戒壇を開き、5年を過ごした後、新田部親王の旧宅地(現在の奈良市五条町)を下賜され、天平宝字3年(759)戒律を学ぶための修行道場を開き、「唐律招提」と名付けられて鑑真和上の私寺として始まりました。
 
ある暑い夏の日のこと、鎌倉時代の唐招提寺中興の祖「大悲菩薩覚盛上人:だいひぼさつかくじょうしょうにん」が大勢の弟子を前に講義をしていると、蚊が飛んできて上人の頬を刺そうとしたので、弟子の一人が蚊を追い払おうとしたところ、覚盛上人はそれを制し「蚊に血を与えるのも菩薩行である」といって戒めました。
 
120502_71.jpg戒行清廉なるその徳をたたえ「せめて団扇で蚊を払って差し上げよう」と、教えを受けた法華寺の尼僧たちが、覚盛上人の遺徳を偲んで「うちわ」を作り、霊前に供えるようになりました。このうちわを上人にゆかりの深い人々に授けたのが「うちわまき」の始まりとされています。
 
上人の忌日に執り行われる「中興忌梵網会:ちゅうこうきぼんもうえ」の法要を行った後、境内の舎利殿から千五百本のうちわがまかれます。参詣人は競ってこれを拾い、厄除けのお守りにします。
 
雷難、火難、豊作、病気、安産、産児の健康等、諸願意の如くならずということなし」と伝わります。
 
唐招提寺
120502_72.jpg◇奈良県奈良市五条町13-46
◇JR「奈良駅」~「六条山行」バス17分「唐招提寺」下車すぐ
公式Web:
http://www.toshodaiji.jp/

◇◇◇◇編集後記◇◇◇◇
蚊に血を与えるのも菩薩行・・・私たち凡人にはそのまでの達観出来ないかも知れません。とはいっても殺戮を正当化されては世の中、殺伐としてしまいます。平成の現代こそ鑑真のような精神が必要でしょう。日本はこの精神があったから、世界に認められたのです。残念なことに、いつの間にか隣人他人を構わない社会になってしまいました。
鑑真が生きていたらさぞかし嘆くことでしょう。私たちの周辺だけども菩薩行を実践しましょう。
一説には、唐招提寺のうちわで煽いだら目が見えるようになった。癌が小さくなったといった逸話もあるそうです。読者の皆様、迷信と決めつけずお出かけになってみてはいかがでしょう。
お出かけの際には、お風邪などお召しにならないようお体ご自愛専一の程
筆者敬白

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