■5月27~28日 小田原、最乗寺「道了尊大祭」です。■
曹洞宗大雄山「最乗寺(さいじょうじ)」の本尊は「釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)」。脇侍仏として、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)、普賢菩薩(ふげんぼさつ)を奉安します。開創以来600年の歴史を持つ関東の霊場として知られます。
開山の「了庵慧明禅師(りょうあんえみょうぜんじ)」は、相模国大住郡糟谷の庄(現在の伊勢原市)に生まれました。地頭の職にあった了庵は、戦国乱世の虚しさを感じ、鎌倉の不聞禅師(ふもんぜんじ)について出家。能登總持寺、永沢寺、近江總寧寺、越前龍泉寺、能登妙高庵寺など通幻禅師(つうげんぜんじ)の後席すべてに住持し、「大本山總持寺(そうじじ)」に輪往。50才半ばで相模国に帰り、曽我の里に「竺圡庵(ちくどあん)」を結びます。
ある日、一羽の大鷲が禅師の袈裟を掴んで足柄の山中に飛び、大松の枝に掛けるという奇端を現じました。この啓示によって應永元年(1394)、足柄山中に大寺を建立、「大雄山」と号しました。
大雄山最乗寺の守護「道了大薩埵(どうりょうだいさった)」は、大和金峰山、奈良大峰山、熊野三山に修行した行者で、相模坊道了尊者として知られます。大雄山開山の折り、尊敬する了庵禅師のもとに馳せ参じて土木の業に従事。約1年で大事業を完遂し、その力量は500人分にあたるとか。
◆天狗伝説
道了尊者は、師匠の了庵禅師が最乗寺を建立することを聞き、近江の三井寺から天狗の姿になって飛んできて、神通力を使って谷を埋めたり、岩を持ち上げて砕いたりして寺の建設を手伝いました。そして了庵禅師がこの世を去ると、寺を永久に護るために天狗の姿に化身して舞い上がり、山中深くに飛び去ったといわれ、以来、寺の守護神として祀られています。境内いたるところに、大きな高下駄や大天狗・小天狗の石像など、天狗にまつわるものが奉納されています。
了庵禅師は「十一面観世音菩薩の化身」であるとされ篤く信仰されています。祈祷会や禅学会などのほか、正月・5月・9月には大祭が行なわれます。
大雄山最乗寺
◇神奈川県南足柄市大雄町1157
◇伊豆箱根鉄道大雄山線「大雄山駅」バス10分
◇東名高速道路「大井松田IC」20分
◇公式サイト:https://daiyuuzan.or.jp
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
天狗信仰のある大雄山最乗寺で、寺門守護になって天狗になった道了の大祭です。
正月・5月・9月は大祭の月にあたり、多くの方々が参拝に訪れます。5月大祭では、古則にのっとった御点前を頂く「禅院茶礼(ぜんいんされい)」が行なわれます。
もうすぐ梅雨、季節の変わり目です。時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白