■5月3日「熱海 身代り不動尊 五臓病除」です。■
「不動尊」とは「不動明王」の尊称で、密教の「五大明王(五大尊)」〔※〕のひとつで、その主尊です。「不動金剛明王」「無動尊」「阿遮羅囊他(あしゃらのうた)」などとも。一般には「お不動さん」の名で広く親しまれています。
いっさいの悪魔・煩悩を降伏させるための大日如来(だいにちにょらい)の化身とされ、憤怒の相をとっていて、厳めしい形相をしています。これは貪・瞋・痴(とん・じん・ち)の三毒〔※〕や悪魔を、相手の立場や考えを容認せず、その誤りを徹底的に破折して正法に導く厳しい方法(折伏:しゃくぶく)での衆生を漏らさず導くためです。
青黒色の全身に火焰を背負っています。背の大火炎は大智慧を以って悪業煩悩を焼き尽くし、大磐石は確乎不動にして動揺せざる姿を表しています。右手に持つ利剣は智体と折伏を、左手の羂索は大乗の収摂を意味します。一眼で天を睨むは向上心と理想を、一眼を以って地を睨むは向下心で現実に即すべきことを意味しています。
※五大明王(五大尊):密教の明王のうち、不動・降三世(ごうざんぜ)・軍荼利(ぐんだり)・大威徳(だいいとく)・金剛夜叉(こんごうやしゃ)の五明王。「五力明王」「五大尊」とも。
※貧・瞋・痴(とんじんち):仏教用語。誰にでもある煩悩のうち欲望の根源になる煩悩。心が惑わされた結果、苦しみがおきる。特に108ある煩悩の中心である3つ。これによる害を「三毒(さんどく)」などとも呼ばれる。
「貧(とん)」貧欲であること、むさぼること。我欲や利欲を求めてやまないこと。
「瞋(しん)」怒りのこと。利己の我侭(わがまま)や憎しみや恨みの怒りのことです。
「痴(ち)」無知のこと。単に知識が無いことではなく、仏法の教えを知らないでさまよっている状態のこと。貪・瞋・痴のなかでも最も根本の煩悩であるとされ、「無明(むみょう)」とも称される。
身代り不動尊の熱海別院では毎年5月3日に「五臓病除け祈願祭」が斎行されます。
元禄の頃、悪疫が流行した際、諸国を行脚していた祐天上人(ゆうてんしょうにん)が不動尊を尊信するよう教え、土地の人びとがこれを信仰したところ悪疫が去ったと伝わります。霊験あらたかな本尊に感謝して堂宇を建て安置したことが身代り不動尊の始まりとされています。
神奈川県川崎市の別格本山大明王院と熱海、横浜、東京の3つの別院があります。熱海別院では、とくに海上安全や水難除けといった海の安全祈願を行います。
◇身代り不動尊 熱海別院
◇静岡県熱海市伊豆山837
◇「身代り不動尊 大明王院」総合サイト(公式):https://migawarifudouson.or.jp
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
折しも令和のゴールデンウイークの最中です。観光に熱海にお出かけになる予定をたてて、是非お出かけになって下さい。健康は何にも代えがたい財産ですが、安寧を祈願する場所として「熱海身代り不動尊」へお出かけください。家族の健康祈願にも五臓病除け祈願祭のご利益を――
筆者敬白