2026.03.18
3月

令和8年(2026)3月25~31日 奈良、薬師寺「花会式(はなえしき)」です。

■3月25~31日 奈良、薬師寺「花会式(はなえしき)」です。■

「南都七大寺(なんとしちだいじ)」〔※〕のひとつ「薬師寺(やくしじ)」は、興福寺(こうふくじ)とともに法相宗(ほっそうしゅう、ほうそうしゅう)の大本山です。西国薬師四十九霊場1番。南都七大寺6番。神仏霊場巡拝の道第25番。平成10年(1998)古都奈良の文化財の一部として世界遺産に登録されています。

「天武天皇(てんむてんのう)」により発願、「持統天皇(じとうてんのう)」により本尊開眼、「文武天皇(もんむてんのう)」により飛鳥の地に堂が完成。のちの平城遷都に伴い、現在の奈良市西ノ京町に移されました。

本尊は「金堂」に安置される金銅仏(こんどうぶつ)「薬師三尊(やくしさんぞん)」です。中央に「薬師如来(やくしにょらい)」、向かって右に「日光菩薩(にっこうぼさつ)」、左に「月光菩薩(がっこうぼさつ)」を安置する形式を「薬師三尊」といいます。白鳳時代を代表する見事な金銅仏で、日本における薬師三尊の形式としても古例であり最高傑作でもあります。

薬師寺の伽藍のうち、火災や地震を免れ創建時から現存するのは、ただ「東塔(とうとう)」(国宝)のみです。かねてより「白鳳伽藍(はくほうがらん)」の再建は寺の悲願でした。しかし、奈良の大寺はそもそも朝廷の管理下にあったため、檀家がなく、長いあいだ費用をつくることができませんでした。

しかし、昭和40年代、管主(かんす)の「高田好胤(たかだこういん)」は、「物で栄えて心で滅ぶ高度経済成長の時代だからこそ、精神性の伴った伽藍の復興を」と訴えて全国を行脚、「写経勧進(しゃきょうかんじん)」による浄財を募り、納経料で再建を果たしました。写経勧進はいまも薬師寺を支える大きな柱のひとつとなっています。

※南都七大寺(なんとしちだいじ):奈良時代に「平城京(南都・奈良)」およびその周辺にあり、朝廷の保護を受けた7つの「官寺(かんじ)」。東大寺(華厳宗)、興福寺(法相宗)、元興寺(華厳宗、真言律宗)、大安寺(高野山真言宗)、西大寺(真言律宗)、薬師寺(法相宗)、法隆寺(聖徳宗)。「官寺」とは、律令制下、寺の維持費用をすべて官から支給され、かつ監督されていた寺のこと。

◆薬師寺の花会式

「花会式(はなえしき)」とは、奈良の大寺が国家の繁栄と五穀豊穣、万民豊楽などを祈る春の行事「修二会(しゅにえ)」のひとつです。薬師寺では、もともと旧暦2月末に行なわれていたことから、そのまま新暦に直して3月25日から31日にかけて行なわれます。

嘉承2年(1107)、「堀河天皇(ほりかわてんのう)」が、皇后の病気平癒を薬師如来に祈ると、病気が回復しました。翌年、皇后は10種類の造花を女官たちにつくらせ感謝の心をこめて薬師如来の御宝前に供えました。以来、毎年造花を供えて修二会を行なうようになったことから「花会式」と呼ばれるようになりました。

椿・梅・桜・桃・山吹・牡丹・杜若・藤・百合・菊の10種、合わせて1696本ものの造花を12瓶に生けて供えます。

毎年期間中に、「練行衆(れんぎょうしゅう)」による「悔過法要(けかほうよう)」〔※〕が行なわれます。最終日の夜の「鬼追い式(おにおいしき)」という儀式では、金堂の前で、松明を持ち激しく暴れまわる「鬼」を薬師如来のお力を受けた「毘沙門天」が鎮めます。これをもって結願とし、法会を締めくくります。

薬師寺の花会式は、春を告げる風物詩として人びとに親しまれ、大勢の参拝客で境内が賑わいます。

※悔過(けか):「悔過」とは、人間が自覚・無自覚のうちにつくってしまった様々な罪を反省し、より良い生き方に改めるということ。薬師如来に対して悔過の行法(ぎょうほう)を行なうことを「薬師悔過」と呼ぶ。

法相宗大本山 薬師寺
◇奈良県奈良市西ノ京町457
◇近鉄「西ノ京駅」徒歩1分
◇公式サイト:https://yakushiji.or.jp

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

修二会は「国家繁栄、五穀豊穣、万民豊楽」の祈願です。
もうすぐ4月、新年度、新学期が始まります。

読者の皆様、時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白

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