2025.03.17
3月

令和7年(2025)3月25~31日 奈良、薬師寺「花会式(はなえしき)」です。

■3月25~31日 奈良、薬師寺「花会式(はなえしき)」です。■

南都七大寺(なんとしちだいじ)〔※〕のひとつ「薬師寺(やくしじ)」は、興福寺(こうふくじ)とともに法相宗(ほっそうしゅう、ほうそうしゅう)の大本山です。本尊は「薬師三尊」(薬師如来を中尊、日光菩薩・月光菩薩を左右脇侍の形式)。

天武天皇(てんむてんのう)により発願、持統天皇(じとうてんのう)により本尊開眼、文武天皇(もんむてんのう)により飛鳥の地に堂が完成。後の平城遷都に伴い、現在の奈良市西ノ京町に移されました。

西国薬師四十九霊場1番。南都七大寺6番。神仏霊場巡拝の道第25番。平成10年(1998)古都奈良の文化財の一部として世界遺産に登録されています。

薬師寺の伽藍のうち、火災や地震を免れ創建時から現存するのは、ただ「東塔(とうとう)」(国宝)のみです。白鳳伽藍の再建は寺の悲願でしたが、奈良の大寺はそもそも朝廷の管理下にあったため檀家がなく、長いあいだ費用をつくることができませんでした。

しかし、昭和40年代、管主の高田好胤(たかだこういん)和上は、「物で栄えて心で滅ぶ高度経済成長の時代だからこそ、精神性の伴った伽藍の復興を」と訴え、全国を行脚して写経勧進による浄財を募り、納経料で再建を果たしたのです。写経勧進はいまも薬師寺の大きな柱のひとつとなっています。

※南都七大寺(なんとしちだいじ):奈良時代に平城京(南都・奈良)およびその周辺にあり、朝廷の保護を受けた7つの官寺(かんじ)。東大寺(華厳宗)、興福寺(法相宗)、元興寺(華厳宗、真言律宗)、大安寺(高野山真言宗)、西大寺(真言律宗)、薬師寺(法相宗)、法隆寺(聖徳宗)。「官寺」とは、律令制下、寺を維持していく費用をすべて官から支給され、かつ監督された寺のこと。

◆薬師寺の花会式

「花会式(はなえしき)」は、奈良の大寺が国家の繁栄と五穀豊穣、万民豊楽などを祈る春の行事「修二会(しゅにえ)」のひとつで、薬師寺では、もともと旧暦2月末に行なわれていたことから、そのまま新暦に直して3月25日から31日にかけて行なわれています。

嘉承2年(1107)、堀河天皇(ほりかわてんのう)が皇后の病気平癒を薬師如来に祈り、病気が回復しました。翌年、皇后は10種類の造花を女官たちにつくらせ感謝の心をこめて薬師如来の御宝前に供えました。以来、毎年造花を供えて修二会を行なうようになったことから「花会式」と呼ばれるようになりました。椿・梅・桜・桃・山吹・牡丹・杜若・藤・百合・菊の10種、合計1696本の造花を12瓶に生けて供えます

毎年期間中に、練行衆(れんぎょうしゅう)による「悔過法要(けかほうよう)」〔※〕が行なわれ、最終日の夜は「鬼追い式(おにおいしき)」が行なわれます。金堂の前で、松明を持ち激しく暴れまわる鬼を薬師如来のお力を受けた毘沙門天が鬼を鎮めるという儀式です。これをもって結願とし、法会を締めくくります。

薬師寺の花会式は、春を告げる風物詩として人びとに親しまれ、大勢の参拝客で境内が賑わいます。

※悔過(けか):「悔過」とは、人間が自覚・無自覚のうちにつくってしまった様々な罪を反省し、より良い生き方に改めるということ。薬師如来に対して悔過の行法(ぎょうほう)を行なうことを「薬師悔過」と呼ぶ。

法相宗大本山 薬師寺
◇奈良県奈良市西ノ京町457
◇近鉄「西ノ京駅」徒歩1分
◇公式サイト:https://yakushiji.or.jp

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

修二会は「国家繁栄、五穀豊穣、万民豊楽」の祈願です。
もうすぐ4月、新年度、新学期が始まります。

読者の皆様、時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白

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