■3月1日「甲子(きのえね)」です。■
「甲子(かし・かっし・きのえね)」とは、甲子待ち・甲子祭の略称。子祭ともいいます。
五行説※で「甲」は陽の木、「子」は陽の水で五行相生※して吉となり、よい組み合わせです。また十干十二支(じゅっかんじゅうにし)※の組み合わせ60種のうちの「1番」で、目出度い日とされています。
この日、甲子待ちと称して子の刻(午後11時~午前1時)まで起きて、大豆・黒豆・二股大根を食膳に供え、大黒天を祀ります。子(ね)を、ねずみと結びつけ、ねずみを大黒天の使いであるとみなして、子の日に祀るようになりました。
甲子(きのえね)・庚申(こうしん)・己巳(つちのとみ)などの暦注は、江戸時代に商家で盛んに行われました。現在でも各地に行事として残っています。
甲子は、日では60日で循環し巡り、年では60年で循環し巡ります。中国では甲子の年は政治上の変革があるとされ、甲子革命が説かれたりしました。日本でも甲子の年には、元号の改元が議論されたりしました。
※十二支(じゅうにし)
子(ネズミ)・丑(牛)・寅(トラ)・卯(うさぎ)・竜(龍)・未(蛇)・午(馬)・羊(ヒツジ)・申(サル)・酉(にわとり)・戌(犬)・猪(いのしし)の12種の動物を表わす漢字のこと。「十干(じっかん)」※と組み合わせることで、60を1周期とする「干支(えと)」を形成し、方角や時間、暦に用いられる。また、陰陽五行説と組み合わせることで「卦(け)」にも応用されるようになった。
※十干(じっかん)
木・火・土・金(ごん)・水の五行(五行)を兄(え)・弟(と)に分けたもの。年・日を現す。甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)を十二支と組み合わせて使う。
※五行(ごぎょう)、五行思想(ごぎょうしそう)、五行説(ごぎょうせつ)
古代中国に端を発する自然哲学の思想。万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなるという説である。その根底には、5種類の元素は「互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環する」という考え方がある。西洋の四大元素説(四元素説)と比較される東洋思想。
※五行相生(ごぎょうそうしょう)
五行説で、五行に相生(一緒に、または、並んで生育すること)の関係があり、順序立てるとした説。木から火が、火から土が、土から金が、金から水が、水から木が生じるというように、五行は、木火土金水の順に循環するという考え。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
社会では始まりや一番目は、お目出度いとされています。「甲子」も干支の1番目で、決断、改革、転居、方針転換、新規チャレンジ、入学、新しい仲間などにチャンスがあります。また、年号が甲子の年だと大きな政変になるとされています。
読者の皆様お体ご自愛専一の程
筆者敬白