2025.07.07
7月

令和7年(2025)7月14日 熊野那智大社「扇祭り(おうぎまつり)」です。

■7月14日 熊野那智大社「扇祭り(おうぎまつり)」です。 ■

「那智の火祭(なちのひまつり)」は、正式には「扇会式(おうぎえしき)」または「扇会式法会(おうぎえしきほうえ)」といいます。「扇祭り(おうぎまつり)」とも。毎年7月14日に行なわれる「熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)」の例大祭のことで、豪壮な松明の燃え盛る御火の神事から「火祭り」と名付けられました。御遷宮御鎮座を偲ぶ神事、神霊を振い起す神事、万物の生成発展を祈る神事です。

別宮「飛瀧神社(ひろうじんじゃ)」の参道で行なわれる御火神事で使われる大松明の重さは約50kg、桧の割板を桶のように輪締めにしたもので、12体奉製されます。

祭の主体「扇神輿」は、幅1m、長さ6m程の細長い框(かまち)に、赤緞子(どんす)を張り、金地に朱の日の丸を描いた扇を組み合わせ、9ヶ所に計32本、白銅鏡八面、それに「光」「蝶の鬚」「緑松」「桧扇の花」などを飾り付けたもので、「那智の大滝(なちのおおたき)」を表します。

那智勝浦町に鎮座する「熊野那智大社」は、田辺市本宮町の「熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)」、新宮市の「熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)」とともに「熊野三山(くまのさんざん)」の一社です、全国約4,000社余ある「熊野神社(くまのじんじゃ)」の御本社です。

神武天皇御東征以前から、命の根源である水が豊富にあふれ落ちる「那智の大滝」を、熊野に住む人びとは神として奉祀していたと伝わります。つまり、滝自体が御神体です。そこに、国づくりの神である「大巳貴命(おおなむちのみこと)」(大国主命)を祀り、主祭神として、親神である「熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)」(伊弉冉尊)を祀ります。

「神武天皇」が熊野灘から那智の海岸「にしきうら」に上陸したとき、那智の山に光が輝くのを見て、「那智の大滝」をさぐり当てたとか。これを神として祀り、その守護のもと、「八咫烏(やたがらす)」の導きによって無事大和へ入ったと伝わります。

全国から沢山の人びとが熊野を目指すさまは「蟻の熊野詣」と言われるほど。皇室の尊崇厚く、延喜7年(907)宇多上皇の御幸をはじめ、後白河法皇は34回、後鳥羽上皇は29回もご参詣の旅を重ねたほどです。また花山法皇は千日(3年間)の滝籠りを行なったという記録も残っています。

「熊野」という地名の語源は「隈の処」から。ここは奥深い処「神秘の漂う処」といいます。「クマ」「カミ」と同じ語で「神の野」に通じる地名ということにもなります。その「神の里」に詣で、漂う霊気にひたり、神々の恵みを得ようと、いにしえより多くの人びとが熊野、那智山へ参詣しました。隣接する「青岸渡寺(せいがんとじ)」とともに「熊野信仰」の中心地とされ、現在も厚い信仰を集めています。

熊野那智大社
◇和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
◇JRきのくに線「紀伊勝浦駅」からバス「那智山」下車 徒歩約15分
◇公式サイト:https://kumanonachitaisha.or.jp

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