■7月12日「草市(くさいち)」です。■
お盆が近づくと、関東各地ではお盆に使う飾り物や盆踊りの用品を売る市が立ちます。古くは13日早朝(迎え盆の朝)が盛んでしたが、次第に12日の夜が賑わうようになりました。地域によっては「盆市」「花市」とも。
人びとは、盆提灯、灯籠、花茣蓙(はなござ)、経木(きょうぎ)、果物など、さまざまな物を買い求めます。盆花用には、禊萩(みそはぎ)、桔梗、女郎花(おみなえし)、萩、ほおずきなど。線香、盆棚に用いる菰(こも)、迎え火・送り火に用いる麻幹(おがら)、先祖や精霊の乗り物とされるナスや菰づくりの牛馬、供え物を盛るためのハスの葉や土器など、実に多種多様な品々が並べられます。さらに、数珠や仏具、太鼓、手拭、頭巾、紋服など、お盆に必要なものはなんでも揃います。
「草市や柳の下の燈籠店」
「草市の蓮にたまる埃かな」
ーー正岡子規
12日の夜は、秋の草や花が市に並び、その光景が昔の武蔵野の風情を思い出すことから、いつしか「草の市」と呼ばれるようになったそうです。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
日々の忙しさから、お盆を簡略化する方々も多くなりました。お盆は先祖の霊を慰める大切な行事です。子育てや仕事、学業などに忙しくても、今日生きていることに感謝してお盆の時期、命のつながっている先祖に手を合わせましょう。
読者の皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白