■7月7日「奈良、吉野蛙飛び」です。■
吉野山から大峯山山上ケ岳にかけての一帯は、古くは「金峯山(きんぷせん)」と称する修験道の聖域でした。
7世紀後半、この金峯山に役行者(えんのぎょうじゃ)神変大菩薩が修行に入り、「本尊・金剛蔵王大権現」を得ました。この姿を桜に刻み、山上ケ岳(現:大峯山寺本堂)と、山麓の吉野山(現:金峯山寺蔵王堂)に祭祀したことが金峯山寺の開創と伝わります。
「蛙飛び」とは、仏罰を受けた男がカエルの姿に変えられ、改心して人間の姿に戻るまで再現した行事です。
◇蛙飛び物語◇
延久年間(1069頃)のこと、金峯山へ参詣する修験者の一行のなかに、つねづね金峯山蔵王権現の修験道神力を侮った男がいました。あるとき、この男が行者の精進や仏の力を侮辱する言葉を吐くと、突然、空一面まっ黒な雲につつまれ、男は一羽の大鷲に断崖絶壁に置き去りにされてしまったのです。男は大声で助けを求めますが助けが来ません。怖くなり震えていると、そこに高僧が現れ、助けるためには改心しなければと咎めると、男は今までの侮った考えを改め改心を誓ったので、高層は法力で絶壁から降り易いようにと、男を蛙の姿に変えたところ無事に救われたのです。助けられた蛙の姿の男を高層は蔵王堂につれて帰りました。それから吉野全山の僧が集まり読経し、最後には導師の授戒によって、無事に人間の姿に戻ったといいます。
現在、金峯山寺の有名な行事として知られる、蛙が人間の姿にもどる形を再現して演じられる「蛙飛び行事」は、この伝説が起源といわれています。
金峯山寺
◇奈良県吉野町吉野山
◇近鉄吉野線「吉野駅」ロープウェイ「吉野山駅」徒歩10分
◇公式サイト:https://www.kinpusen.or.jp
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
金峯山寺で7月7日に行なわれる「蛙飛び」では、大青蛙を乗せた太鼓台が蔵王堂へ練り込み、法要の後、蛙飛びの作法が行なわれます。天気が良ければ観光にはよい季節です。
これから本格的な夏。読者の皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白