2025.01.09
1月
雑節・歴注・撰日

令和7年(2025)1月16日「賽日(さいにち)」「やぶ入り」「えんま詣り」です。

■■1月16日「賽日」「やぶ入り」「えんま詣り」です。■■

◇賽日・えんま詣り◇

「賽日(さいにち、さいじつ)」とは、「藪入り(やぶいり)」にあたり、閻魔(えんま)に参詣する日のこと。「閻魔詣り」「十王詣」とも言います。

閻魔王の賽日は「地獄の獄卒も仕事を休み、地獄の釜の蓋もゆるむ日」とされる日。亡者たちも責苦を逃れ骨休みになるとされました。奉公人の「薮入り(やぶいり)」の日にもあたるので、多くの人びとが閻魔詣でに行きました。「賽」は、祈願がかなってお礼参りをすることを意味します。この日、寺院では参詣者に閻魔堂を開帳し「十王図(じゅうおうず)」「地獄変相図(じごくへんそうず)」が拝観できます。

◇十 王◇

「十王(じゅうおう)」とは、人が死後に亡者となって行く冥土(めいど)で、亡者の罪を裁く十人の判官の総称。秦広王、初江王、宋帝王、五官王、閻魔王、変成王、泰山王、平等王、都市王、五道転輪王。閻魔はそのなかの一王です。

エンマは梵語で「手綱」「制御」「禁止」などの意。閻魔は人類最初の死者で、そのため大変苦労して天国(極楽)を発見し、そこの王となりました。のちに、そこへ多くの死者がやって来ます。しかし、なかには悪人もいました。そこで冥界に来た死者を裁き、悪人を地獄へ収容するようになったのだそうです。

◇六 道◇

人の死後、初七日から七日ごとに上の最初の王から順に裁かれ、三十五日目には、最も重要な六道(ろくどう、りくどう:地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道)」のうち、どこに生まれ変わるかを閻魔王が決定します。

◇やぶ入り◇

かつて商家につとめる奉公人が、正月16日(15日の小正月を済ませた後)と7月16日の年2回、休暇をもらって実家に帰り、家族に会ったり先祖の墓に参ったりする習俗があり、それを薮入り(やぶいり)」といいました。

昔は、商家の息子たちは口減らしも兼ねて、また商売の修行のために奉公に出ました。家内の工業としては、くず繭の糸紡ぎぐらいで、勤め人になるのは官員になるぐらいでしたので、小学校卒業や高等小学校卒で丁稚(でっち)に出たものです。

正月元日には奉公人も新年を祝いますが、2日から初荷や初売りなどで仕事をする習わしであるため、休みがありません。15日の小正月をすますと、少々の給金や小遣いを貰い、真新しい着物を身に着けて、主人からの土産を持って実家に帰ります。

親は、奉公先での日頃の苦労を労い、できるだけのご馳走を作って、休養を取らせます。兄弟姉妹が多い家では薮入りに家族が集まって、男も女も子どもにかえったものです。農村部では、嫁に出た娘が里帰りをし、墓参りをするところもありました。

薮入りの語義については定説はありません。「藪」は文字どおり「草深い」という意味で、都市部とは対照的な草深い村落に帰ることを表しているのではないかといわれます。ひとりぼっちで行き場のない奉公人や、里の遠いところの者が「藪林、叢林(そうりん)」に入って遊んだのが始まりなどとも伝わります。帰るあてのない者は、藪に入っているほかないからなどとも。

正月と盆の16日は、山の神があたりを歩くので、それに会わぬよう、山仕事も休んで家に籠もっているもの、とされているところもあります。

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

令和の現代では丁稚奉公の習慣は忘れ去られつつあります。いつの時代もよい環境の職場 と、よい先輩に恵まれることが大切ですね。時代は変わっても職場の雰囲気や仕事に対する情熱は、次の世代に伝えていきたいものです。
もうすぐ二十四節気「大寒」です。大寒を過ぎた頃、寒さも峠を越します。
読者の皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白

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