■1月5日「初水天宮(はつすいてんぐう)」です。■
毎月5日は水天宮の縁日です。正月はじめのこの日を「初水天宮(はつすいてんぐう)」といって、変わらぬ世を祝います。
水天は、十二天・八方天〔※〕のひとつ。水を司る竜神で、密教では西方を守護する神。羂索(けんさく)〔※〕を執り、冠の上に五竜を頂き、亀の背に乗って水中での姿であらわされます。
日本においては、神仏習合時代に「水」の字つながりで「天之水分神(あめのみくまりのかみ)」「国之水分神(くにのみくまりのかみ)」と習合しました。水分神は本来は子どもとは関係なかったと考えられていますが、「みくまり」の発音が「御子守り(みこもり)」に通じるというので、水天が安産・子育ての神・子どもの守り神として信仰されるようになったといわれています。
福岡県久留米市の「水天宮」は全国の総本宮で、安徳天皇と建礼門院〔※〕を祀ります。祭神は水徳の神で、船人の守護神として篤い信仰があります。また、安産・水難除けのご利益があるといわれます。東京日本橋の「水天宮」は、水難除け・安産・商売の守り神として有名です。その発声から「情け有馬の水天宮」と江戸時代から江戸地口〔※〕で唄われています。
※十二天・八方天(じゅうにてん・はっぽうてん):十二天は仏教の護法善神である「天部」の諸尊12尊の総称。密教では四天王とともに重視。十二天のうち、特に八方(東西南北の四方と東北・東南・西北・西南)を護る諸尊を八方天と称する。
※羂索(けんさく):「羂」はワナの意で、もともと鳥獣をとらえるワナ。縄は5色の糸をより合わせ、一端に環、他端に独鈷杵(とっこしょ)の半形をつけたロープ状の法具。衆生救済の象徴とされ、水天のほか、不動明王、千手観音、不空羂索観音などがこれを持つ。
※安徳天皇(あんとくてんのう):治承2年(1178)-寿永4年(1185)。第81代天皇(在位:治承4年(1180)-寿永4年(1185))。諱(あざな)は言仁(ときひと)。最も短命だった天皇。戦乱で落命したことが記録されている唯一の天皇。
※建礼門院(けんれいもんいん):平徳子(たいらのとくし、のりこ)、久寿2年(1155)-建保元年(1214)。女院(にょいん、にょういん:三后(太皇太后・皇太后・皇后)や、それに準ずる身位の女性に宣下された称号)で、院号「建礼門院(けんれいもんいん)」。日本の第80代天皇・高倉天皇の皇后(中宮)。
※江戸地口(えどじぐち):地口(じぐち)は言葉遊びのひとつで「洒落」とほぼ同じ意味。江戸地口は江戸の地名をもじったもの。
全国総本宮 水天宮(久留米)
◇福岡県久留米市瀬下町265-1
◇JR「久留米駅」徒歩10分
◇西鉄「久留米駅」タクシー約10分
◇公式サイト:http://suitengu.net
水天宮(東京日本橋)
◇東京都中央区日本橋蛎殻町2丁目4-1
◇半蔵門線「水天宮駅」徒歩1分
◇日比谷線、都営浅草線「人形町駅」徒歩6~8分
◇公式サイト:https://www.suitengu.or.jp
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
東京日本橋の水天宮は平成28年(2016)、本殿を改築しました。新しい社殿は一部ガラスを採用するなど、水神にふさわしい様式です。近くにお立ち寄りの際には是非参拝に詣でてください。
初水天宮の頃は毎年正月寒波の最中です。暖かくしてお出かけ下さい。
筆者敬白