2024.01.02
1月
雑節・歴注・撰日

令和6年(2024)1月6日「初巳(はつみ)」です。

■1月6日「初巳(はつみ)」です。■

弁財天の縁日は「巳の日」です。特に1月最初の巳の日を「初巳」「初弁天」といって賑わいをみせます。この日、米銭(べいせん:コメとゼニ)を紙に包んで封じておくと金運に恵まれるといわれています。

「弁才天」は仏教の守護神である天部(てんぶ)のひとつです。ヒンドゥー教の女神「サラスヴァティー(Sarasvatī)」が仏教あるいは神道に取り込まれた呼び名で、経典に準拠した漢字表記は本来「弁才天」です。日本では「才」が「財」に通じることから「財宝神」としての神格が加わり「弁財天」と表記する場合も多く見られます。

「サラスヴァティー」の漢訳は「辯才天」。後に「辨財天」とも書かれるようになりました。「辯」と「辨」とは同音ですが、意味は異なる漢字であり、「辯才(言語・才能)」「辨財(財産をおさめる)」を「辯財」や「辨才」で代用することはできません。戦後の当用漢字の制定により「辯」と「辨」はともに「弁」に統合されたので、現在は「弁才天」または「弁財天」と書くようになりました。

「弁天」「妙音天」「美音天」とも称され、弁才天(弁財天)を本尊とする堂宇は「弁天堂」「弁天社」などと称されます。

弁才天は本来インドの神で、古くから崇められた三つの聖河のひとつ「サラスヴァティー河の化身」、神話では河の中で最上のもので、女神のうちで最上のものであるとされています。

日本では神道の神とも見なされ、河の流れる音からの連想から音楽神とされ、福徳神、学芸神、弁才の神となり、その後仏教において、福智・延寿・除災・得勝を司る福徳神として「七福神」の一員となっています。

さらに、仏教において「妙音菩薩(みょうおんぼさつ)」と同一視され、「宗像三女神(むなかたさんじょしん)」と同一視されることも多く、古くから弁才天を祭っていた社では明治以降、「宗像三女神」又は「市杵島姫命(いちきしまひめ)」を祀ります。

日本での弁才天信仰は奈良時代に始まり、東大寺法華堂に安置される八臂の立像(はっぴのりゅうぞう)が日本最古とされます。「銭洗弁天」として現世利益の神、また七福神として信仰を集めてきましたが、江戸時代の頃から銭洗弁天の信仰が盛んになるにつれ「才」を「財」に変えて「弁財天」と表すことが多くなっていきました。

宝冠を被り青衣をつけた美しい女神は、左手に弓・刀・斧・絹索を、右手に箭・三鈷戟・独鈷杵・輪を持つものもあり、ヴィーナ(琵琶に似た楽器)を弾ずるといいます。

琵琶湖に浮かぶ竹生島

安芸の宮島、大和の天川、近江の竹生島、相模の江ノ島、陸前の金華山を「五大弁天」と称します。
鎌倉の「銭洗弁天」(正式には宇賀福神社)では、境内奥の洞窟内の湧き水で銭を洗うと、数倍になって返ってくるとされています。

日本各地に存在する「弁天島」は、弁才天信仰に由来する島名です。海難避けや豊漁を祈願する漁師たちの守り神として、日本各地の沿岸の小島に祀られてきました。

 

■七福神(しちふくじん)とは、福をもたらすとして信仰されている七柱の神です。
◆恵比寿◆:「大漁追福」の漁業の神。時代と共に福の神として「商売繁盛」や「五穀豊穣」をもたらす、商業や農業の神となりました。
◆大黒天◆:ヒンドゥー教のシヴァ神と、日本古来の大国主命の習合。大黒柱と現されるように、食物や財福を司る神となりました。
◆毘沙門天◆:ヒンドゥー教のクベーラ神。仏教の神のヴァイシュラヴァナ(多聞天)になり、日本では毘沙門天と呼ばれます。
◆弁才天◆:七福神の中の紅一点。ヒンドゥー教の女神であるサラスヴァティー神。七福神の一柱としては「弁財天」と表記されます。
◆福禄寿◆:道教の宋の道士、または、道教の神で南極星の化身の老子である「寿老人」の別名または同一神とされます。
◆寿老人◆:道教の神で南極星の化身の老子。
◆布袋◆:唐の末期、明州に実在したと伝わる仏教の僧。

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

「己巳」や「庚申」は現代社会では迷信の域に入ってしまった暦注です。自身の戒めにその謂れを振り返ってみることも、心の栄養で余裕のひとつです。
正月が過ぎ小寒を越すと、ますます寒くなります。
お風邪などお召しにならないようにお体ご自愛専一の程
筆者敬白

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