■2月23日「天皇誕生日」「旧天長節」です。■
今上天皇陛下(きんじょうてんのう:その時点において天皇として在位している天皇のこと)の誕生日を祝う日です。現在の元号は「令和」、今上天皇は、平成天皇の第一皇子「徳仁」第126代天皇陛下です。
大東亜戦争終結までは「天長節(てんちょうせつ)」と呼ばれました。現在は「天皇誕生日」として国民の祝日となり、皇居において一般参賀が行われます。一般参賀とは天皇が皇族と御一緒に国民から祝賀をお受けになる行事です。
この日、宮中では「天長祭(てんちょうさい)」として天皇陛下のお誕生日を祝し、「三殿(さんでん)」〔※〕にて祝賀の儀、宴会の儀、茶会の儀が行なわれます。伊勢神宮をはじめ各地の神社では「天長祭」が行なわれます。海上自衛隊では、基地等に停泊している自衛艦において「満艦飾(まんかんしょく)」〔※〕が行なわれます。
第126代天皇徳仁陛下は、昭和35年(1960)2月23日、上皇陛下と上皇后美智子さまの第一親王として誕生。「皇室典範」で皇位継承順位となり、平成31年(2019)4月30日午後12時の父帝の退位によって、令和元年(2019)5月1日午前0時に皇位を継承。「日本国憲法」および「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」に基づき、59歳で第126代天皇に即位されました。
「徳仁」は四書五経の『中庸(ちゅうよう)』を典拠として、祖父・昭和天皇が命名なさいました。『中庸』とは、儒教の「四書」のひとつです。中庸は「常に時々の物事を判断する上で、偏らず平凡な感覚でも理解できるもの」と説かれています。『論語』のなかで「中庸の徳たるや、それ至れるかな」とは中庸を極めた孔子の言です。
今上天皇陛下は、平成5年(1993)雅子さま(小和田恆氏の長女)と結婚の儀を挙げ、平成13年(2001)長女・敬宮愛子内親王をもうけました。報道に際しての宮家の敬称は「さま」付けが多く、平成の時代には「皇太子さま」と親しみ深く呼ばれていました。
今上天皇陛下は、憲法の定める「国事行為(こくじこうい)」のほか、関連する式典への出席、各界の人びととの会見や茶会にくわえて、在日大使との会見、国際親善を目的とした国賓・外国要人を招いての晩餐、外国元首との親書・親電の交換などを行ないます。こうした国事行為とともに、国家と国民の安寧と繁栄を祈ることを目的に行なわれる「宮中祭祀(きゅうちゅうさいし)」や、和歌や昭和天皇から引継がれている稲作などの伝統文化も受け継がれています。
また、地震や台風で被災した地域には、お見舞い金を下賜するだけでなく、天皇皇后両陛下みずから被災地に赴き、被災者をお見舞いになるとともに、救援活動に携わる人びとを励まします。
今上天皇陛下は、学習院大学時代には瀬戸内海の海運、オックスフォード大学時代にはテムズ川の水運を研究され、「水」の問題に深く関心を寄せられています。学生時代に訪れたネパールで、水くみをする女性や子どもたちをご覧になり、「水くみをするのにいったいどのくらいの時間が掛かるのだろうか。女性や子どもが多いな。本当に大変だな」と「素朴な感想」を抱き、「その後、開発途上国では、女性や子どもが水くみ労働から解放されずに地位の向上が阻まれていたり、学校へ行けなかったりする現実があることを知りました」と述べられています。こうして水運の研究から関心を広げ、「人と水との関わり」について多角的に考察を深め、国際会議での講演を重ねられています。
※宮中三殿(きゅうちゅうさんでん):皇居内の「賢所(かしこどころ)」「皇霊殿(こうれいでん)」「神殿(しんでん)」の総称。賢所には天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、皇霊殿には歴代天皇・皇族の御霊が祀られ、神殿には国中の神々が祀られている。
※満艦飾(まんかんしょく):軍艦が祝祭日・記念日・式典等に際して祝意を表すために、艦首からマストを通して艦尾までを線で結び、信号旗などの旗を連ねて掲揚して飾ること。日本の自衛隊では、建国記念の日、天皇誕生日、自衛隊記念日、観艦式を行う日などに、午前8時から日没まで自衛艦に自衛艦旗や信号旗などを掲揚する。国家の大典、観艦式等においては、日没後に、白色電球で自衛艦の船体等を電飾する電燈艦飾を実施することもある。令和元年5月1日には、御即位を記念して満艦飾と電燈艦飾が行なわれた。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
天皇誕生日には皇居で一般参賀が行われ、長和殿のベランダに天皇および皇族が出御し、天皇が「おことば」を述べられます。令和に入り、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、天皇誕生日の皇居での一般参賀は行われませんでした。令和5年(2023)ようやく開催され、今上天皇陛下が即位して初めての天皇誕生日一般参賀となり、およそ8800人の国民がお祝いに参じました。
昼間は暖かく朝晩寒い日が続きます。
時節柄、お風邪などお召しにならないようにお体ご自愛専一の程
筆者敬白