■2月2日 奈良、春日大社「節分万燈籠」です。■
「春日大社(かすがたいしゃ)」は、奈良公園内にある神社で、式内社(名神大社)、二十二社の一社、旧社格は官幣大社。全国の春日大社の総本社です。神護景雲2年(768)、「平城京の守護」のため創建されました。
本殿向かって右から、
第一殿には、鹿島神宮(かしまじんぐう、茨城県鹿嶋市)から迎えた「武甕槌命(たけみかづちのみこと)」
第二殿には、香取神宮(かとりじんぐう、千葉県香取市)から迎えた「経津主命(ふつぬしのみこと)」
第三殿には、枚岡神社(ひらおかじんじゃ、大阪府東大阪市)から迎えた「天児屋根命(あめのこやねのみこと)」と
第四殿には、同じく「比売神(ひめがみ)」
の四柱が祀られています。
四神をもって藤原氏の氏神とされ、「春日神(かすがのかみ)」と総称されます。また、武甕槌命(たけみかづちのみこと)が白鹿に乗ってやって来たとされることから、鹿が神使(しんし:神の使い、神の眷属)とされています。
◆万燈籠(まんとうろう)
「万燈籠」は約800年も昔から行われて来た行事です。境内3000基の燈籠は、藤原氏をはじめ広く一般から奉納されたものです。燈籠には崇敬者が願いを書いた和紙が貼ってあり、万燈籠の日の参列者が浄火を入れます。昔は毎晩すべての燈籠に火が入っていましたが、明治時代頃は人手と油料が途絶えて点灯が不可能になったこともあります。油料の寄付を集め、懸命に伝統を守ろうとした形跡を残す史料が残っています。
年に2回、2月の「節分万燈籠」と8月の「中元万燈籠(ちゅうげんまんとうろう)」が行われます。この日、境内のすべての燈籠に火が入れられます。石燈籠が整然と並ぶ二ノ鳥居から神苑付近、そして釣燈籠が並ぶ朱塗の回廊などは王朝絵巻を見るようで、しばし幽玄の世界へ導かれます。
◆献灯をしたい方:事前に献灯紙を求め、住所氏名を書いて神社に送ります。石燈籠に貼られた名前が灯明で浮かびあがります。
春日大社
◇奈良県奈良市春日野町160
◇バス「春日大社本殿」下車、または「春日大社表参道」徒歩10分
◇公式サイト:https://www.kasugataisha.or.jp
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
節分万燈籠の頃は、空気も澄んでいて、さながら王朝絵巻のようだと謳われています。浄火を献じて神に祈る万燈籠は、いにしえの奈良の人びとが春日参道で雨乞い祈祷として始めたと伝わります。
明日は立春とはいっても、夜半には寒さが残ります。お風邪などお召しにならないようにご注意なさってください。
時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白