■2月1~5日「尾鷲ヤーヤ祭り」です。■
三重県の南部に位置する「尾鷲(おわせ)」は、平安時代から熊野信仰の盛んな土地でした。鎌倉時代には伊勢神宮の荘園がこの地方に広がり、伊勢神宮系の神社が創設されるようになりました。
尾鷲神社(おわせじんじゃ)はその代表的な神社で、光林寺(現・金剛寺)の鎮守として「大宝天王」と呼ばれていましたが、寛文3年(1663)以後は光林寺から分離して現在に至っています。祭神は「建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)」。
尾鷲神社に隣接する「金剛寺(こんごうじ)」は、曹洞宗の寺院で、正徳4年(1714)寺号の「光林」が、紀州藩主3代綱教の院号と同じであるということから金剛寺に改められました。後に、この地方有数の寺格を持つ「熊野五ヵ寺」のひとつに数えられるようになりました。
◆ヤーヤ祭り
「ヤーヤ祭り」は、毎年2月1~5日に行なわれる尾鷲神社の例大祭で、江戸時代の初期から継承された神事と祭事をほとんど変えることなく今に伝えています。ヤーヤという祭りの通称は、武士が合戦時に名乗りをあげる「ヤーヤー我こそは…」の口上が由来だといわれます。
2日から4日までの夜は、各梼屋(とうや:その年の神事や祭事の主宰者)の家の前で「宵宮(よんみゃ)」とも呼ばれる「ヤーヤ行事」が行われます。20町の若者たち(ヤーヤ衆)が集団を組み「チョウサ・チョウサ」の掛け声と共にぶつかり練り合います。たくさんの提灯が点る中、白装束を纏ったヤーヤ衆が勇ましくぶつかり合う姿は豪快で、祭りのいちばんの見所です。
最終日5日目の晩、「お獅子の出御」の儀式が執り行なわれます。「山方向け、浜方向け」と祭りの際、この獅子頭の向く方向で豊凶を占います。この獅子頭は、文禄年間(1592~96)のもので、本殿内の獅子殿に安置され、神の依代として崇敬されます。(県有形民俗文化財指定)
尾鷲神社
◇三重県尾鷲市北浦町12-5
◇JR西日本・紀勢本線「尾鷲駅」徒歩約20分
◇熊野尾鷲道路から「尾鷲北IC・尾鷲南IC」約5分
◇公式サイト:http://owasejinja.net
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
尾鷲神社は大きな楠の御神木が有名で、雄楠が周囲10m、雌楠が周囲9m、樹齢も1000年以上といわれています。楠の木は大木になることが珍しいとのことで、これほど大樹にはなかなかお目にかかれないそうです。
寒い時期です。ヤーヤ祭りにお出掛けの方はくれぐれもお風邪などお召しにならないよう。
お体ご自愛専一の程
筆者敬白