■2月10~11日 福島「信夫三山暁まいり」です。■
福島市の中心市街地の北にある「信夫山(しのぶやま、標高275m)」は、盆地の中央にぽつんと残された全国でも珍しい里山で、市のシンボルとして、また、桜の名所としても市民に親しまれています。
中央に羽黒山(はぐろさん)、西に羽山(はやま)、東に熊野山(くまのさん)、さらにその北に立石山(たついしやま)、といくつもの峰から成り、それぞれの山頂には信仰の対象である神仏が祀られています。太古の昔から山岳信仰の山であり、人々からは「御山(おやま)」と呼ばれて大切にされ、今でも神社や妖怪、奇岩など、さまざまな伝説や不思議な話が語り継がれています。
なかでも熊野山、羽黒山、羽山の三山は「信夫三山」とも呼ばれます。出羽三山の分社(羽黒山神社、月山神社、湯殿山神社)が勧請され、羽黒山には羽黒神社が、羽山には月山神社と湯殿山神社が祀られています。
例年2月10~11日に行われる「信夫三山暁まいり(しのぶさんざんあかつきまいり)」は信夫山羽黒神社の例祭です。江戸時代から400有余年にわたり受け継がれる伝統ある神事で、「大わらじ(長さ約12m、幅約1.4m、重さ約2t)」を奉納することで有名な日本の奇祭のひとつです。
信夫山羽黒神社の御祭神は、淳中太尊(ぬなかふとのみこと)と伝えられ、現在は信夫山山麓の黒沼神社(御祭神は石姫命(いしひめのみこと))の摂社となっています。古くは農耕神である稲倉魂命(いなくらたまのみこと)を祀っていたとされていましたが、神仏習合した「黒羽権現」として信夫山伏の中核をなしていました。
「信夫三山暁まいり」の由来は、その昔、羽黒神社に安置されていた仁王様に合った大わらじを作って奉納したことと伝わります。のちに、伊勢参拝などの長旅に出かける人々から健脚、旅の安全などを祈って羽黒神社境内の「足尾権現」にわらじを奉納するようになり、やがて、無病息災・家内安全を願って羽黒神社へ毎年大わらじが奉納されたと伝わります。
信夫山羽黒神社
◇福島県福島市御山谷8
◇JR「福島駅」から福島交通バス「福島テレビ停留所」下車、徒歩約5分で信夫山公園駒山広場(信夫山の入口です)。
◇JR「福島駅」徒歩約30分で信夫山駒山広場。
◇JR「福島駅」よりタクシー約5分。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
「信夫三山暁まいり」では、およそ100人ほどの担ぎ手が長さ12mの大わらじを担ぎ上げ、朝から信夫山公園内の駒山公園を出発し羽黒神社までの約1.6kmを練り歩きます。その年の夏8月には「福島わらじまつり」(公式サイト:https://www.waraji.co.jp)にて再び大わらじを奉納し、「暁まつり」の分と合わせて1足分とすることで、より一層の健脚を祈願します。
立春を過ぎ寒さの中にも、暖かさを感じる日もあります。
雪下ろしなどで思わぬ事故に遭いませんようご注意下さい。
時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白