■12月18日「納めの観音」です。■
「観音菩薩:かんのんぼさつ」は、仏教の菩薩の一尊で、「観世音菩薩:かんぜのんぼさつ」または、「観自在菩薩:かんじざいぼさつ」とも。別称「救世菩薩:くせぼさつ、ぐせぼさつ」など。
中国六朝時代の訳経僧「鳩摩羅什:くまらじゅう」の旧訳では「観世音菩薩」といい、当時の中国大陸での呼称も観世音菩薩でした。これには「観音経:かんのんきょう=妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五」の趣意を取って意訳したとの説があります。
般若心経の冒頭に登場する菩薩でもあり「般若の智慧の象徴」ともなっています。浄土教では、観無量寿経の説くところにより「阿弥陀如来の脇侍」として「勢至菩薩」とともに安置されることも多い。観音菩薩は「大慈大悲」を本誓とします。
観世音菩薩は身を三十三に変化し、衆生を利益し、済度すると伝わります。「観音三十三身」に因んで、西国・坂東・秩父などの代表的観音霊場三十三所を巡礼する「観音信仰」が中世以降に盛んになりました。観音の縁日は毎月18日とされ、その日に参拝すると特にご利益があるとされました。
「納めの観音」とは、一年を締めくくる観音様の縁日のことです。東京浅草寺、京都清水寺などが有名で、参道には年の市が立ち、正月の縁起物を売る露店が軒を連ねます。
現在浅草寺の「羽子板市」では、羽子板でつく「おい羽根」が害虫を食べる「トンボ」に似ているところから、女の子に「悪い虫がつかない」とゴロを合わせて縁起を担いでいます。
更に、羽根の「豆:むくろじ」の部分から「魔滅:まめ」に見立てて魔除けになる。あるいは「マメに暮らせる」などとも縁起を担いでいます。このように江戸時代、女の子が生まれた夫婦に羽子板を贈る風習があり、羽子板を正月の縁起物として「歳の市」で扱う店が増えたと伝わります。