■12月21日「ゆず湯」です。■
冬至の日に湯を沸かし、沐浴(髪を洗い、からだを洗うこと)する風習がありました。これが「ゆず湯」の始まりと言われています。
現在でも、この日に「冬至粥」「冬至南瓜」「冬至蒟蒻」を食べ、「ゆず湯」に入る習慣が受け継がれています。南瓜(かぼちゃ)の色素「カロチン」は、体内でビタミンAの働きをし、ゆずなど柑橘類の皮に含まれている「芳香油」の作用は、肌荒れを防止し、湯冷めを防ぎます。
入浴は、血液の循環を良くし、新陳代謝を促し、疲労回復に大変効果があります。ゆずの皮の芳香油が湯冷めを防ぐことは科学的に証明されています。入浴は健康のもと。ゆず湯は、冬の美容と健康を考えた生活の知恵です。
冬至の「ゆず湯」や端午の節句の「菖蒲湯」はよく知られていますが、ほかにも一年を通して「季節湯」というのがあります。
1月(正月):松湯
2月:大根湯
3月:よもぎ湯
4月:さくら湯
5月:菖蒲湯
6月:どくだみ湯
7月:もも湯
8月:はっか湯
9月:菊湯
10月:生姜湯
11月:みかん湯
12月:ゆず湯
江戸時代、町じゅうに増えた銭湯が客寄せのためにいろいろな薬湯風呂を競って企画したことで、四季折々の季節湯の習慣が人びとのあいだに根付いていったといわれています。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
秋から冬にかけての生姜湯、みかん湯、大根湯は天然成分由来の薬効も確認されていて、冷えた体を温めてくれます。薬効だけでなく、香りを楽しんでリフレッシュする効果もあります。
季節の植物を感じる沐浴は、風呂好きの日本人の風流なのかもしれません。いつの時代も、リラックスできる温浴施設や湯治文化は日本独特のものといえます。
季節の変わり目です。風呂上がりの湯冷めで風邪などお召しにならないように、お体ご自愛専一の程。
筆者敬白