■12月18日「納めの観音」です。■
毎月18日は、観音さまの縁日「観音会(かんのんえ)」です。12月18日の年内最後の縁日は「納めの観音」「納め観音」といわれ、多くの人が参拝に出かけます。門前では「歳の市」が立ち、縁起物や正月飾りを売る露天が軒を連ねます。
東京浅草の浅草寺(せんそうじ、浅草観音)門前で開かれる歳の市、通称「羽子板市」はニュースにも取り上げられ、年末の風物詩になっています。鎌倉の長谷寺(はせでら)では、この日、年にいちど特別に一般の参拝者が内陣に入ることが許されます。人びとが本尊十一面観世音菩薩の御足に直接手で触れて観音さまとの結縁を深める「御足参り(みあしまいり)」が行なわれます。
「縁日」は「有縁(うえん)の日」「結縁(けちえん)の日」の略で、神仏の、この世に縁(ゆかり)のある日とされ、その日に参詣して神仏と縁を結ぶと、より一層の御利益があるといわれます。中国、五代の頃の中国禅宗の禅師が、毎月の1日から月末の30日まで、それぞれの日に仏・菩薩を配当した「三十日仏名(さんじゅうにちぶつみょう)」の考え方が日本でも取り入れられ、「三十番神(さんじゅうばんじん)」という神仏習合(しんぶつしゅうごう)の信仰として広まったと考えられています。
◆観音さまの「普門示現(ふもんじげん)」
「観音菩薩(かんのんぼさつ)」は、大乗仏教の代表的な菩薩で、世の人びとの音声を観じて、その苦悩から救済するといわれています。「観音さま」として多くの人に親しまれ、信仰されています。ほかに「観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)」「観自在菩薩(かんじざいぼさつ)」「救世菩薩(くせぼさつ、ぐせぼさつ)」などいろいろな名で呼ばれます。
また、観音さまは、さまざまな衆生の難(なん)に応じて姿を変えて現れるとされ、これを観音の「普門示現(ふもんじげん)」といいます。「聖観音(しょうかんのん)」のほかに、「十一面観音(じゅういちめんかんのん)」「如意輪観音(にょいりんかんのん)」「馬頭観音(ばとうかんのん)」「准胝観音(じゅんていかんのん)」「千手観音(せんじゅかんのん)」などいろいろな姿で現れます。
さらに、33種類の姿に変化(へんげ)してさまざまな場に出現し、人びとを救うとも説かれ、これを「三十三身(さんじゅうさんじん)」といいます。「西国三十三所観音霊場」や「熊野三十三度詣」、「三十三間堂」などの「33」という数字はこれに由来します。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
あらゆる衆生の難を救う観音菩薩への信仰は、現世利益と結びついて、古代から広く人びとのあいだに根付いてきました。観音さまのあたたかく大きな慈悲に救いを求める人間の気持ちは今も昔も変わりません。
寒さが身にしみる師走です。
風邪などひかないよう皆様ご自愛専一の程
筆者敬白