2024.12.02
12月

令和6年(2024)12月8日「針供養(はりくよう)」「こと納め」です。

■12月8日「針供養(はりくよう)」「こと納め」です。■

「こと納め」とは、その年の事の終わりの行事のことで、江戸時代は陰暦12月8日に行われていました。「針供養(はりくよう)」は、折れた針を供養し、裁縫の上達を願う行事です。

「こと納め」も「針供養」も「事八日(ことようか)」(こと始め・こと納め)にあたり、昔からさまざまな行事が行われてきましたが、それが江戸などの都市部で針供養に変化したと考えられます。針供養は、関東では一般に2月8日に行われますが、12月8日に行われる地方もあります。

この日は、針の使用を謹んで針仕事を休み、古針(折れたり曲がったりした縫い針)を、豆腐やこんにゃく、あるいは餅に刺して、神社で供養したり、川へ流したりするのが一般的でした。豆腐やこんにゃくなどに針を刺すのは、柔らかいものを刺すことで針に楽をさせ、今までの針の労への感謝を表しています。

もともと中国で行われていた針供養に似た行事が日本に伝わったもので、事始め・事納め・女の守護神である淡島信仰〔※〕などと混合して出来上がったのが針供養であるといわれます。

「事八日」の日には、芋、大根、焼豆腐、あずき、にんじんなどの煮物料理を食べる、俗にいう「お事汁(おことじる)」「六質汁(むしつじる)」を食べて、無病息災と五穀豊穣を願います。また、豆腐のように色白の美人になるようにとか、柔らかい気持ちになれるようにとか、まめに働くことが大事(だいず)としたのだとか。豆腐は刺されても痛いと言わないから、女性ががまん強いことを願ったからなどともいわれます。

和歌山市加太(かだ)の「淡嶋神社(あわしまじんじゃ)」では、一年のあいだに納められた針を本殿で祓ったあと、鉢塚に納めて塩をかけ、土に返すことで、針の労をねぎらい、今後の上達を祈ります。祭神として祀るのは「少彦名命(すくなひこなのみこと)」「大己貴命(おほなむじのみこと)」「息長足姫命(おきながたらしひめのみこと・神功皇后)」。少彦名命は医薬の神様でもあります。特に女性の病気回復や安産・子授けなどに霊験あらたかといわれています。

※淡島信仰(あわしましんこう):「淡島神(あわしまのかみ)」は、婦人病治癒や安産・子授け、裁縫の上達、人形供養をはじめ、良縁・健康維持など女性に関する効験ありとされる信仰。発祥は住吉大神の妃神が婦人病のため淡島の地に流され治癒したことからという説があります。江戸時代には「淡島願人(あわしまがんにん)」と呼ばれる人々が淡島神の人形を祀った厨子を背負い、淡島様の神徳を説いてまわったことから信仰が全国に広がりました。

浅草寺淡島堂

浅草寺(東京都台東区浅草)
◆針供養――2月8日
◇東京都台東区浅草2-3-1
◇都営浅草線・銀座線・東武鉄道「浅草駅」徒歩5分
公式サイト:https://www.senso-ji.jp

淡嶋神社(和歌山市)
◆針供養――2月8日
◇和歌山県和歌山市加太116
◇南海加太線「加太駅」徒歩15分
◇公式サイト:https://www.kada.jp/awashima/

法輪寺(京都市)
◆針供養――2月8日、12月8日
◇京都市西京区嵐山虚空蔵山町
◇阪急電車「嵐山駅」徒歩約5分
◇市バス「阪急嵐山駅前」徒歩約5分
◇公式サイト:https://www.kokuzohourinji.com

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