■12月3~9日「障害者週間」です。■
12月3日から9日までの1週間、平成16年(2004)6月、「障害者週間(しょうがいしゃしゅうかん)」が定められました。「障害者週間」とは、国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めることを目的とした週間です。
障害者施策の基本的方針は、平成14年(2002)閣議決定された「障害者基本計画」で定められ、日本が目指すべき社会として、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」を掲げています。
「障害者基本法」(昭和45年(1970)施行)は、基本的理念として、
すべての障害のある方に対して、
1、「個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する」
2、「社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられる」
ことを宣言するとともに、
3、「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」
としています。
平成16年(2004)6月に障害者基本法が改正され、12月9日の「障害者の日」に代わるものとして、12月3日から12月9日までの1週間を「障害者週間」と改めて定められました。
12月3日と12月9日の日付にはそれぞれ意味があります。
・昭和50年(1975)12月9日、国連総会で「障害者の権利宣言」が採択されました。これが「障害者の日」です。
・昭和56年(1981)11月28日、「国際障害者年」を記念して、12月9日を「障害者の日」と新たに定めました。
・昭和57年(1982)12月3日、国連総会で「障害者に関する世界行動計画」が採択されました。これを記念して平成4年(1992)の第47回国連総会において、12月3日を「国際障害者デー」とすることが宣言されています。
内閣府は、平成7年(1995)6月27日、「国際障害者デー」の12月3日から日本の「障害者の日」の12月9日までの1週間を「障害者週間」とすることとしました。こうして、12月9日「障害者の日」は12月3~9日「障害者週間」へと拡大されたのです。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
平成28年(2016)7月26日、神奈川県相模原市の障害者施設に刃物を持った男が侵入し、19人が死亡、26人が負傷する事件が起きました。日本の犯罪史上まれにみる被害の大きさです。令和2年(2020)3月、裁判員裁判で死刑判決が言い渡されました。報道によると、犯人は控訴しましたが、それを取り下げたそうです。
「共生社会」とは、どんな世界なのでしょうか。障害の有無などによって誰ひとり排除されることなく生きていくことができてはじめて「共生」だといえるでしょう。
1980年代から、障害は個人がかかえる困難ではなく、社会環境の側に変えるべき問題があるとする考え方が広まってきました。
東京2020、パリ2024パラリンピックで選手たちが見せてくれた姿は、どんな障害を持っていても活躍する場さえあれば誰もが生き生きと笑顔になれることを力強く証明するものでした。
何を隠そう筆者も身体障害者です。不自由な生活を12年ほどしていました。パラスポーツの世界だけではなく社会全体が変わっていくことを切に祈ります。
筆者敬白