■12月18日「納めの観音」です。■
「観音菩薩(かんのんぼさつ)」は仏教の菩薩の一尊で、「観世音菩薩(かんぜのんぼさつ)」、または、「観自在菩薩(かんじざいぼさつ)」とも。別称「救世菩薩(くせぼさつ、ぐせぼさつ)」など。
鳩摩羅什(くらまじゅう)訳〔※〕では「観世音菩薩」といい、当時の中国大陸での呼称も観世音菩薩でした。これには「観音経(かんのんきょう)=妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五」の趣意を取って意訳したとの説があります。
※鳩摩羅什(くらまじゅう):344〜413。五胡十六国時代の仏僧。父はインド人,母はクチャ王の妹という。中国の仏典翻訳僧のうち、もっとも偉大な者のひとり。
観音菩薩は『般若心経』の冒頭に登場する菩薩でもあり、「般若の智慧の象徴」ともなっています。浄土教では『観無量寿経』の説くところにより「阿弥陀如来の脇侍」として「勢至菩薩(せいしぼさつ)」とともに安置されることも多い。観音菩薩は「大慈大悲」を本誓とします。
◆普門示現(ふもんじげん)
観世音菩薩は身を三十三に変化させ、あまねく衆生を利益し済度(さいど:迷い苦しむ人間を救い、悟りの彼岸にわたすこと)すると伝わります。西国三十三観音霊場や三十三間堂などに見られる数字「33」は、これに由来します。このため観音像には「変化身(へんげしん:さまざまなかたちの像)」があります。
聖観音(しょうかんのん):人びとの願いに応じて姿を変える観音菩薩の基本のかたち。
十一面観音(じゅういちめんかんのん):頭部に11の顔を持ち、あらゆる方向を見て人びとを救う。
千手観音(せんじゅかんのん):千の手を持ち、あらゆる方法で人びとを救う。
如意輪観音(にょいりんかんのん):如意輪を持ち、あらゆる人びとを救い、願いを叶える。「如意」とは意のままに智慧や財宝、福徳をもたらす如意宝珠という宝の珠のこと、「輪」は煩悩を打ち砕く法輪のこと。
「観音三十三身」にちなんで、西国・坂東・秩父などの代表的観音霊場三十三ヶ所を巡礼する「観音信仰」が中世以降に盛んになりました。
観音の「縁日」は毎月18日とされ、その日に参拝すると特にご利益があるとされました。「縁日」とは、「有縁(うえん)の日」「結縁(けちえん)の日」の略で、神仏のこの世に縁(ゆかり)のある日を意味します。それぞれの神仏が示現する特定の日に参詣して神仏と縁を結ぶと、ふだんにまさる御利益があるといわれています。(御利益信仰)。
「納めの観音」とは、一年を締めくくる観音様の縁日のことです。東京浅草寺、京都清水寺などが有名で、参道には歳の市が立ち、正月の縁起物を売る露店が軒を連ねます。