■12月8日「納めの薬師」です。■
「納めの薬師」とは、その年の最後の薬師の縁日のことで、この1年間のご加護を感謝するとともに、新しい1年に向けての祈願をする行事です。
「薬師如来(やくしにょらい)」は「東方浄瑠璃世界(とうほうじょうるりせかい)〔※〕」の教主で、正式名は「薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)」。大医王、医王善逝(いおうぜんぜい)とも呼ばれます。広く人々の病気を治し延命するだけでなく、精神的な苦痛までも取り除くといわれます。
薬師如来を本尊として建立された寺院は、病気平癒(びょうきへいゆ)を祈願(きがん)したものが多く、法隆寺の本堂の薬師如来像は、聖徳太子の父君・用明天皇の病気平癒祈願のために安置されたもの。
薬師寺の本尊薬師如来像は、後の持統天皇の病気平癒のために安置され、新薬師寺の薬師如来像も、聖武天皇の眼病平癒を祈願して安置されたものです。
※東方浄瑠璃世界(とうほうじょうるりせかい):東方にあるという薬師如来の浄土〔※〕。瑠璃を大地として、建物・用具はすべて七宝造りで、多くの菩薩(ぼさつ)が住むとされる。瑠璃の浄土。
浄土(じょうど):仏教で、一切の煩悩やけがれを離れ、五濁〔※〕や地獄・餓鬼・畜生の三悪趣が無く、仏や菩薩が住む清浄な国土のこと。瑠璃世界(るりせかい)。
※五濁(ごじょく):仏教用語。この世が悪くなるときの5つの汚濁の祖。濁とは濁(にご)り、穢(けが)れのこと。5つの穢れとは、劫濁(こうじょく)、見濁(けんじょく)、煩悩濁(ぼんのうじょく)、衆生濁(しゅじょうじょく)、命濁(みょうじょく)をいう。総じて五濁は、末世にになると発生する避けがたい社会的、精神的、生理的な5種の穢れで、五滓(ごし)ともいう。
「劫濁」は時代の濁りで、戦争、疫病、飢饉(ききん)などの時代的な環境社会の穢れをいう。
「見濁」は思想の乱れで、種々の邪悪な思想が流行することをいう。
「煩悩濁」は煩悩の流行をいう。貪(むさぼ)りや怒りや世間知らずな迷いなどがはびこり、人心は乱れ、悪徳の横行する世相をいう。
「衆生濁」は人間の善行意欲が低下し、心に活気がなく、不健康で、苦労の多い世間となり、同時に人間の質の低下をみる状態をいう。
「命濁」は人間の寿命が短くなることをいい、最後には寿命は10歳まで縮まるとされる。
人間の死を招く病気。身の不幸や心の病も病気とし、「欲が深くて、不正直で、疑い深くて、腹が立ち、不平不満の愚痴ばかり、これ皆病気です」とは薬師寺ご住職のお言葉です。
法相宗大本山 薬師寺
◇奈良県奈良市西ノ京町457
◇近鉄「西ノ京駅」徒歩1分
◇公式サイト:https://yakushiji.or.jp
東京別院
※東京別院の薬師縁日は「毎月12日」
◇東京都品川区東五反田5丁目15番17号
◇公式サイト:https://yakushiji.or.jp/tokyo/
華厳宗日輪山 新薬師寺
◇奈良県奈良市高畑町1352番地
◇公式サイト:http://www.shinyakushiji.or.jp