2023.12.03
12月

令和5年(2023)12月6日 小田原「秋葉権現 火防祭(あきはごんげん ひぶせまつり)」です。

■12月6日 小田原「秋葉権現 火防祭(あきはごんげん ひぶせまつり)」です。■

秋葉権現(あきはごんげん)」は、秋葉山(あきはさん)の山岳信仰と修験道が融合した神仏習合(しんぶつしゅうごう)の神〔※〕です。神仏分離・廃仏毀釈が行われる以前は「遠州大登山秋葉寺(しゅうようじ)」から勧請された「秋葉社」が神仏習合の社として全国に広まりました。

観音菩薩の化身とされた信州出身の秀修験者・三尺坊(さんじゃくぼう)の歿後、「秋葉三尺坊大権現」としてお前立ち(おまえだち)として祀ったことが起源。観音菩薩を本地仏とし、七十五膳神饌の眷属(けんぞく)〔※〕を従えます。

秋葉」の由来は、嵯峨天皇から寺に賜った和歌の中に「秋葉の山に色つくて見え」とあったことからとか。また、「行基が秋に開山したことによる〔※〕焼畑に由来する」などの異説も。

秋葉三尺坊大権現は「火難除けの神」として知られ、全国各地に「秋葉講」が結成され、遠州秋葉参りが盛んになりました。また、遠州秋葉参りができない人々の為に、地元に「秋葉権現」を勧請。秋葉講の講社の数は、盛時には全国3万余を数えました。

慶応4年(1868)廃仏毀釈(はいぶつききゃく)〔※〕により、修験道の神である秋葉権現は廃されました。明治6年(1873)神仏分離(しんぶつぶんり)〔※〕によって、遠州大登山秋葉寺は廃寺に追い込まれ、当時の国家神道の「秋葉神社」に強制的に改組されました。

現在、「小田原、秋葉権現 火防祭」は、「秋葉山量覚院」で行われる「秋葉山 火防祭」です。秋葉山量覚院は江戸時代の小田原城主・大久保忠世が信仰していた遠州秋葉大権現の分社として設けられました。
火之迦具土大神(ひのかぐつちのおおかみ=火の幸を恵み、悪火を鎮め、火を司り給う神)」を祭神として祀ります。火防の神様として、消防や火力発電など「火を取り扱う仕事」の関係者が全国各地からお参りとお札を求めに訪れます。
火防祭では、修験者装束の山伏が天下泰平の祈願を行い、山伏問答をした後、熾火(おきび)〔※〕の火の上を渡る「火渡り」の儀式が行われ、無病息災を祈願します。

※神仏習合(しんぶつしゅうごう):神道と仏教が融合し習合されたこと。神仏混淆(しんぶつこんこう)とも。

※眷属(けんぞく):神の使者をいう。その神と関連する想像上の動物または姿を持ったり動物にみえることがある。神道においては、蛇や狐、龍など。神に代わって神の意志を伝える神使の役割があるとされる。

※七十五膳神饌(しちじゅうごぜんしんせん):「七五三」に陽数五を掛けて算出する。数式では5(7+5+3)=75となる。すなわち善神が七十五神で眷属となる。

※行基(ぎょうき):天智天皇7年(668)~天平21年(749)。飛鳥時代から奈良時代にかけて活動した日本の仏教僧。

※廃仏毀釈(はいぶつききゃく):仏教寺院・仏像・経巻を破毀(破棄)し、仏教を廃すること。

※神仏分離(しんぶつぶんり):神仏習合の慣習を禁止し、神道と仏教、神と仏、神社と寺院とをはっきり区別させること。

※熾火(おきび):火勢が盛んで赤く熱した炭火(オキ)ともいう。

秋葉山量覚院
◇神奈川県小田原市板橋544
◇箱根登山鉄道「箱根板橋駅」徒歩10分
◆「秋葉山火防祭」(小田原市):https://www.city.odawara.kanagawa.jp/kanko/event/DEC/hibusematuri.html

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