■12月4~10日「人権週間」「世界人権デー」です。■
昭和23年(1948)12月10日、第3回国連総会において、世界における自由、正義及び平和の基礎である基本的人権を確保するため、全ての人民と全ての国とが達成すべき共通の基準として「世界人権宣言」が採択されました。
昭和25年(1950)12月4日の第5回総会においては、世界人権宣言が採択された日である12月10日を「人権デー(Human Rights Day)」と定め、全ての加盟国及び関係機関が、この日を祝賀する日として、人権活動を推進するための諸行事を行うよう要請する決議を採択しました。
日本では、世界人権宣言が採択された翌年の昭和24年(1949)から法務省と全国人権擁護委員連合会が、人権デーを最終日とする1週間(12月4~10日)を「人権週間」と定めました。毎年その期間中、各関係機関及び団体とも協力して、全国的に人権啓発活動を行っています。
しかし、人権問題はいまだなくなりません。いじめや虐待などにより子どもが命を落とすといった痛ましい事案が後を絶ちません。また、インターネット上で他人を誹謗中傷したり、個人の名誉やプライバシーを侵害したりする事件も急増しています。一方、職場では長時間労働による過労死、様々なハラスメント(嫌がらせ)、不当な差別といった問題が発生しています。
人権週間に合わせて「ハンセン病」に関する正しい知識の啓発と偏見や差別の解消のため、各地の法務局主催でパネル展示などが行なわれます。
令和元年(2019)6月28日、熊本地方裁判所において「ハンセン病家族国家賠償請求訴訟」で原告勝訴の判決が言い渡されました。翌7月12日に閣議決定・公表された「ハンセン病家族国家賠償請求訴訟の判決の受入れに当たっての内閣総理大臣談話」にもとづき、ハンセン病患者や元患者、そしてその家族がおかれていた境遇を踏まえた人権啓発活動が続けられています。
ハンセン病はすでに薬による治療だけで治すことができる普通の病気のひとつです。感染することも発病することもほぼありません。しかし、いったん植え付けられた「恐ろしい伝染病」のイメージと強制的な隔離政策の影響はまだ無くならず、今後も社会全体の意識を変えていかなければなりません。
また、「人権週間」と前後して、12月10~16日の1週間を「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」としています。
平成18年(2006)に施行された「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」のなかで、国や地方公共団体が国民世論の啓発を図る責務があることが示され、同時に定められた「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」に様々な取り組みが実施されることになりました。
拉致問題は私たちにとって喫緊の国民的課題です。北朝鮮当局による人権侵害問題への対処は国際社会を挙げて取り組むべき課題とされるなか、なにより私たち自身が当事者として拉致問題についての関心と認識を深めていくことが大切です。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
人権について考えるーーなかなか設けられない機会です。人権週間のテーマは、「『誰か』のこと じゃない。」です。命を軽んじ人権を踏みにじるような事件が日々報道されるなか、皆さんもお近くの催しに参加して「思いやりの心」や「かけがえのない命」について、あらためて考え、「誰か」のことではなく自分ごととして問いかけてみましょう。
筆者敬白