■8月8日~「天一天上(てんいちてんじょう)」です。■
「天一天上:てんいちてんじょう」とは、陰陽道の歴注で癸巳~戊申の16日間をいいます。
「天一神:てんいちじん」という方角神が天上界に出かけてしまい、期間中は佳日とされています。天一天上の間は天一神の祟りがなく方角の禁忌(悪い方位)はなくなるので、どこに出掛けるにも良しとされました。このことが、縁起を担ぐ相場師に利用されたと伝わります。
かわりに期間中は日遊神が地上に降りて家の中に留まります。屋内の汚れた人家には祟りをするといわれていますから、自宅は清潔にしておかなければなりません。
天一神は方角神のひとつで、中神(なかがみ)ともいい、地星の霊で荒神です。天と地の間を規則正しく往復し、四方八方を巡り、人の吉凶禍福を司ります。
天一神のいる方角を犯すと祟りがあるとされ、神の滞在する方角を「塞がり」といってこの方角を犯すことを忌み、このことを「物忌み」といいます。その方角に真っ直ぐ向かうことは禁物で、どうしてもその方角に行かなければならない時は「方違え」をします。
「天一神の遊行日」
■乙卯から5日間…卯(東)
■庚申から6日間…巽(南東)
■丙寅から5日間…午(南)
■辛未から6日間…坤(南西)
■丁丑から5日間…酉(西)
■壬午から6日間…乾(北西)
■戊子から5日間…子(北)
■己酉から6日間…艮(北東)
この期間この方角に、天一神が天上から降りてきて下界八方を巡って過ごしますから、この方角を忌み、この方角に向かっての出産、争い事、殺生、弓を射ることなどを忌み嫌うのです。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
天一天上は大自然を怖れ敬って、自然と共に生きている時代に、経験的に感じ取った歴注です。今となっては迷信や神話の域だと見過ごされしまう暦です。
その昔、情報処理が発達していなかった頃、日遊神の祟りからのがれるために部屋を掃除するところから転じて、株や相場師にとって、天一天上は相場を見直す頃とされていました。
8月後半の天一天上が明けると、二十四節気「白露」です。北のほうから紅葉の便りが待たれる頃で、朝晩が冷え込む様になりました。
皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白