■8月27日~29日 神奈川、大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ)「秋季例大祭」です。■
「大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ)」の創立は、今から2200余年以前の人皇第10代崇神天皇の御代と伝わります。
「大山(おおやま)」は、別名「雨降山(あめふりやま、あふりやま)」とも。式内社で、旧社格は県社(現、神社本庁の別表神社)。「阿武利」とも表記し、「あぶり」とも読みます。
天平勝宝4年(752)「良辯(りょうべん)大僧正」が入山し、神宮寺として「雨降山大山寺」が建立され、本尊に不動明王が祀られました。中世以降は、大山寺を拠点とする修験道(大山修験)が盛んとなり、源頼朝を始め北条氏、徳川氏などの武家の崇敬篤く、江戸時代には、参詣する講「大山講」が関東各地に組織され、多くの庶民が参詣しました。
明治の神仏分離の際には、大山寺の勢力が強かったため、激しい廃仏毀釈が行なわれました。石尊大権現・大山寺の称を廃し、旧来の「阿夫利神社(あふりじんじゃ)」に改称、今に至ります。明治6年に県社に列格。
大山阿夫利神社は大山の山嶺に三社を構えます。本社に「大山祗大神(おおやまつみのおおかみ)」、摂社に「大雷神(おおいかずちのかみ)」「高龗神(たかおかみのかみ)」を祀ります。
大山は、古来よりたびたび神意が現れ「天狗の来住する神山」であるともいわれてきました。そこから摂社の両社は「大天狗」「小天狗」とも呼ばれています。
「底津磐根(そこついわね=地の底)」に鎮座し、「高天原(たかまがはら=天上の神々の国)」に千木高知りて(ちぎたかしりて)、「天下の神蹟」といわれるのが、「大山石尊大権現(おおやませきそんだいごんげん)」と称せられた本社の御霊体(大山の山岳信仰と修験道的な信仰が融合した神仏習合の神)です。
御神徳は、生活の資源は勿論のこと、海運・漁獲・農産・商工業などに霊験あらたか。さらにまたの名を、「酒解神(さかわけのかみ)」といい、酒造の祖神としても崇敬されています。また、大山は古来より雨乞いの聖地とされ、深く信仰されてきました。
◆秋季例大祭
8月の終わり、大山六町の氏子奉斎のお祭りが行なわれます。
27日:遷幸祭(お下り)
28日:本祭
29日:還幸祭(お上り)
27日早朝、お下りが行なわれます。神輿に阿夫利大神をのせ、祭りの期間中、大山町の社務局に運びます。
28日の本祭では、神楽舞が奉奏されます。大山阿夫利神社の神楽舞は、明治初頭、奈良の春日大社の社家より伝えられたもの。子どもたちの舞として受け継がれ、男子は「倭舞(やまとまい)」、女子は「巫女舞(みこまい)」の舞手をつとめます。また、能や狂言なども奉納され、夜には各町内の神輿渡御があります。
29日、お上りが行なわれます。行列が山を登って神様が下社に戻り、祭りを終えます。
大山阿夫利神社
◇神奈川県伊勢原市大山355
◇小田急線「伊勢原駅」下車「大山ケーブル駅」行バス30分
◇東名「厚木IC」「中井IC」約30分
◇小田急厚木道路「伊勢原IC」約20分
◇公式サイト:https://www.afuri.or.jp
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
大山阿夫利神社の秋季例大祭は、夏山の無事を感謝し、大山に秋の訪れを告げるお祭りです。氏子が神様を神輿に乗せ、「大山(あふり山)」を下り、そして、上ります。昔から土地の人びとが大山を心のよりどころにしてきたことが忍ばれます。
残暑厳しい季節です。読者の皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白