2024.08.17
8月

令和6年(2024)8月24日 秩父、四萬部寺(しまぶじ)「大施食会」です。

■8月24日 秩父、四萬部寺(しまぶじ)「大施食会(だいせじきえ)」です。■

秩父三十四観音札所1番「誦経山 四萬部寺(ずきょうさん しまぶじ)」は、聖観世音菩薩を祀る曹洞宗のお寺です。「四萬部寺」の名前の由来は、法華経四万部の仏典を書写して経塚(きょうづか:経典を土中に埋納した塚)を築いたことからと伝わります。

元禄10年(1697)に建立された朱塗りの千鳥破風付観音堂は、秩父札所霊場唯一の県の重要文化財指定です。

「施食会(せじきえ)」は、仏教行事のひとつで、「施餓鬼会(せがきえ)」「お施餓鬼(おせがき)」ともいわれ、「救抜焔口餓鬼陀羅尼経(ぐばつえんくがきだらにきょう)」というお経に由来した行事です。毎年8月24日に行われる四萬部寺の「大施食会(だいせじきえ)」は、「関東三大施餓鬼」〔※〕のひとつとして知られます。

釈尊の十大弟子のひとり「阿難尊者(あなんそんじゃ)」が瞑想していると、口から火を吐く恐ろしい「餓鬼」が現れて「お前は3日後に死に、餓鬼道に落ちる」と言いました。それを免れることができるかを問うと「三宝(仏・法・僧)に供養せよ。また無数の餓鬼に食物を施して供養せば、餓鬼が救われ、功徳によってお前も救われるであろう」と答えたといいます。阿難尊者は釈尊に教えを請い、延命したといいます。

「餓鬼(がき)」とは、生前の罪の報いで餓鬼道に堕ちた亡者のこと。仏教で説かれる六道(ろくどう)のひとつで、不浄で、常に飢えと渇きに苦しみ、食物を手に取ると炎と化してしまいます。餓鬼は、痩せ細って腹ばかり膨れ上がり、咽喉は針のように細く、それは悲惨極まる姿です。

四萬部寺の大施食会の歴史は、享禄4年(1531)から続くといわれています。境内の「施食殿(せじきでん)」にて、宗派を問わず大勢の僧侶が集まり、ご先祖さま、水子の精霊、動物、草木など、三界(さんがい)におけるあらゆる御霊に感謝し供養します。「三界」とは、心をもつものの存在する欲界・色界・無色界の3つの世界であり、仏以外の全世界のことをいいます。

とくに、四萬部寺の施食会は、秩父特産の銘仙(めいせん:平織りの絹織物の一種)があったため、蚕(かいこ)の供養をはじめとして牛馬、家畜、鳥獣、犬猫、小鳥、魚などのペット、植物に至るまで、先祖の霊だけではなく、三界にあるすべての精霊を等しく供養することで知られています。

※関東三大施餓鬼:施餓鬼を行なう関東地方の主な寺には、
・永福寺(えいふくじ、埼玉県杉戸町)「どじょう施餓鬼」
・玉蔵院(ぎょくぞういん、さいたま市浦和区)
・四萬部寺(しまぶじ、埼玉県秩父市)
・長龍寺(ちょうりゅうじ、埼玉県久喜市)
など。

四萬部寺(しまぶじ)
◇埼玉県秩父市栃谷418番地
◇西武池袋線「西武秩父駅」よりバス「札所一番」下車25分、「栃谷」下車3分
◇関越自動車道「花園IC」から40分
◇皆野寄居有料道路「皆野長瀞IC」から10分
◇公式サイト:https://www.shimabuji.com

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

「四萬部のお施餓鬼」です。背景には六道輪廻(天・人・修羅・畜生・餓鬼・地獄)の考え方が浸透していると言えます。施すことで、持ちすぎを戒め、不足に対して不自由を口にしない生活は理想だったのでしょう。
まだまだ厳しい残暑ですが9月になれば少しは暑さも落ち着きます。夜、眠っていても熱中症になるそうです。水分補給など対策を施しましょう。
皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白

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