2024.08.09
8月
雑節・歴注・撰日

令和6年(2024)8月16日「月遅れ盆 送り火」「京都五山送り火」「箱根大文字焼」です。

■8月16日「月遅れ盆 送り火」「京都五山送り火」「箱根大文字焼」です。■

「盆送り火」「精霊送り」お盆の最後の日。先祖の霊が無事にあの世へ戻れるよう、海や川に供え物や舟を流したり、送り火を焚いて送り出します。

京都の「五山送り火」も精霊送りのひとつ。盆の期間に集団で行われる「盆踊り」は精霊を迎える、死者を供養する、霊を送り出すなどのための仏教行事です。

■8月16日「京都五山送り火」です。■

京のお盆に終わりを告げる「五山送り火」は、この世に戻っていた先祖や故人の精霊を、再び冥府へと導くという宗教行事です。

京都盆地の周囲の山に「大文字」「左大文字」「鳥居形」「妙法」「船形」の合わせて5つの火が点じられ、中でも東山如意ケ嶽の支峰「大文字山」の中腹で焚かれる「大」の文字は良く知られます。山麓には、銀閣寺、法然院等の名刹が連なります。

「大文字と左大文字」は「大乗仏教と小乗仏教」を、「妙と法」は「法華経信仰」を、「船形」は「七福神」を、「鳥居」は「神道」をかたどったと考えられています。

「大」の文字は、75ヶ所の火床に600束の赤松の割木を積み上げ、午後8時頃いっせいに点火され燃え上がらせます。文字の横の一画は73m、左の一画が146m、右の一画が124mという壮大なもの。

点火とともに、大文字中心部にある「弘法大師堂」の中では経が読み上げらます。大文字の強力な火勢は、人々の篤い宗教心を映しているようです。

平安時代初期、大文字山麓にあった浄土寺が大火に見舞われた際、本尊「阿弥陀佛」が山上に飛翔して光明を放ったのを真似た儀式を、弘法大師が始めたという説。室町時代中期、足利義政が近江の合戦で死亡した実子の義尚の冥福を祈るために、家臣に命じて始めたとする説では、大の字形に山の斜面に白布を添え付け、その様子を銀閣寺から相国寺の僧侶が眺め定めたと伝わります。

送り火の起源は謎ですが、慶長8年(1603)にはすでに山々に点火される送り火の行事が、当時の公家の日記に残されていることから、16世紀後半には京都の年中行事として始まっていたことがわかります。

「大」の文字は「地・水・火・風」の四元素に加え、「空」を加えて大自然を表した「五大」の意。自然への敬意と先祖を敬う気持ちを象徴しているものです。自然という目に見えない大きな存在を後世に知らせる為の、先祖の計らいでありましょうか。

度重なる戦乱で生まれた「怨霊の祟り」と言われた地震や洪水、火災などの続発を鎮めるために、「万燈が巨大化」したものとも考えられています。

京都五山送り火は、祇園祭に次いで、夏の京都を飾る風物詩となっています。

大文字送り火=京都市左京区浄土寺七廻り町
松ヶ崎妙法送り火=京都市左京区松ヶ崎西山(妙)、同東山(法)
船形万燈籠送り火=京都市北区西賀茂船山
大文字送り火=京都市北区大北山鏡石町
鳥居形松明送り火=京都市右京区嵯峨鳥居本一華表町
※送り火当日、各山では関係者以外の立ち入りは禁じられておりますのでご注意下さい。

◆京都五山送り火「どんな行事?」(京都市観光協会):https://ja.kyoto.travel/event/major/okuribi/

■8月16日「箱根大文字焼」です。■

「箱根大文字焼(はこねだいもんじやき)」とは、箱根外輪山のひとつ「明星岳(みょうじょうがたけ、通称大文字山)」で毎年8月16日に行われる送り火のことです。

大正10年(1921)から続く伝統行事で、強羅で夏を過ごす避暑客を慰め、同時に地元の旧盆の送り火を兼ねて盛大に行われます。

大文字焼きは準備に2ヶ月余りを要し、炎天下の山腹において刈取乾燥の作業が繰り返し行われ、乾燥した篠竹(箱根産女竹で長さ3m程)直径30cm程の束を350束作ります。
「大」の字の輪郭に沿って二重に約1.5m間隔に立て、花火を合図に点火されます。点が線となり字となり「大」の字が浮かび上がります。

先祖の供養と、一年間の無事御礼を「回向袋」に込め、大雄山最乗寺の導師による諸祈願大法要の後、明星ヶ岳に運ばれ、午後7時半の点火と同時に火の中で供養されます。回向袋には、米や豆、お札などを入れて納めます。

大文字焼き(だいもんじやき)は「大」の字のみを松明の炎で描く行事のことです。五つの形を描く京都「五山送り火」を「大文字焼き」と呼ぶのは本来は誤りです。

この時期、大文字焼きは他に、静岡三島市、山梨笛吹市、高知四万十市、京都福知山市などで盛大に行われます。

◆詳しくは箱根強羅観光協会へ:https://goura-kanko.jp

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

お盆の最後の行事です。送り火から迎え火まで一緒に過ごした先祖の霊を首尾よく送り返す仏教行事から始まっていますが、近年ではその謂れから先祖に思いを馳せるより、これ幸いに海外旅行などでバカンスをと決め込んでいる方も多いことでしょう。
ほんのすこしだけ先祖に思いを馳せて、墓参などに出向きたいものです。

季節の変わり目です。皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白

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