■8月24日「秩父 四萬部寺(しまぶじ)大施食会」です。■
秩父三十四観音札所1番「誦経山 四萬部寺(ずきょうさん しまぶじ)」は、聖観世音菩薩を祀る曹洞宗のお寺です。「四萬部寺」の名前の由来は、法華経四万部の仏典を書写して経塚を築いたことからと伝わります。
元禄10年(1697)に建立された朱塗りの千鳥破風付観音堂は、秩父札所霊場唯一の県の重要文化財指定です。
「施食会(せじきえ)」とは、仏教行事のひとつで、「施餓鬼会(さがきえ)」、「おせがき」ともいわれ、「救抜焔口餓鬼陀羅尼経(ぐばつえんくがきだらにきょう)」というお経に由来した行事です。毎年8月24日に行われる「大施食会(だいせじきえ)」は、「関東三大施餓鬼会」のひとつとして知られます。
釈尊の十大弟子のひとり「阿難尊者(あなんそんじゃ)」が瞑想していると、口から火を吐く恐ろしい餓鬼が現れて「お前は3日後に死に、餓鬼道に落ちる」と言いました。それを免れることができるかを問うと「三宝(仏・法・僧)に供養せよ。また無数の餓鬼に食物を施して供養せば、餓鬼が救われ、功徳によってお前も救われるであろう」と答えたといいます。阿難尊者は釈尊に教えを請い、延命したといいます。
「餓鬼(がき)」とは、生前の罪の報いで餓鬼道に堕ちた亡者のこと。仏教で説かれる六道のひとつで、不浄で、常に飢えと渇きに苦しみ、食物を手に取ると炎と化してしまう。痩せ細って腹ばかり膨れ上がり、咽喉は針のように細く、それは悲惨極まる姿です。
施餓鬼棚に「三界万霊牌」や初盆の戒名を記した位牌を置き、浄水や食物を供え、五如来の「施餓鬼幡」を立てて法要を営みます。餓鬼だけでなく、先祖代々の霊や無縁の諸精霊をも供養します。また、自身の餓鬼の心を反省し、生かされていることを受け止め、福徳延寿を祈願します。
四萬部寺(しまぶじ)
◇埼玉県秩父市栃谷418番地
◇西武池袋線「西武秩父駅」よりバス「札所一番」下車25分、「栃谷」下車3分
◇関越「花園IC」から40分
◇皆野寄居有料道路「皆野長瀞」から10分
◇公式サイト:https://www.shimabuji.com
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
秩父の大施食です。背景には六道輪廻(天・人・修羅・畜生・餓鬼・地獄)の考え方が浸透していると言えます。施すことで、持ちすぎを戒め、不足に対して不自由を口にしない生活は理想だったのでしょう。
まだまだ厳しい残暑ですが9月になれば少しは暑さも落ち着きます。夜、眠っていても熱中症になるそうです。水分補給など対策を施しましょう。
皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白