■4月30日(旧4月8日)「旧潅仏会」「旧花まつり」です■
「潅仏会:かんぶつえ」とは、旧暦4月8日、釈迦の誕生を祝して行われる法会のことです。仏生会、浴仏会などとも呼ばれます。昭和に入ってから「花まつり」という名称が一般的で、関東では4月8日、関西では5月8日にそれぞれ行われます。
寺院で行われる潅仏会では、花を飾った御堂(花御堂)をつくり、浴仏盆と呼ばれる水盆に誕生仏を安置し、竹の柄杓で甘茶を注いでお参りします。
甘茶をかけるのは、釈迦様が誕生の時に、九つの竜が天から清浄の水を注ぎ、産湯に使わせたという言い伝えからです。正式には五香水と呼ばれる五種類の香水を用います。
誕生仏とは、釈迦誕生の仏像のことで「天上天下唯我独尊」といって、手は天を差し、もう一方の手は地を指す姿です。
参拝者はこの甘茶を竹筒に入れて持ち帰ります。これで墨をすり「虫」の一文字か「昔より卯月八日は吉日よ神さけ虫を成敗ぞする」と書いた紙を便所に張るという。そうすれば、蛆が生じないとされていました。明治の頃までは、竹筒を提げて甘茶をもらいに来る子供達で賑わい、門前には竹筒を売る店が並んだそうです。
潅仏会はインドから中国を経て日本へ伝わりました。かつてインドでは、この日を聖日とし、釈迦の童形を飾って楽を奏で、香華を焚き、香水で沐浴潅洗する潅仏の式が行われていました。中国でも盛んに行われ、日本では推古天皇の時代から行われていました。
潅仏会を花祭りというようになったのは、明治34年から。戦前は稚児行列・舞踊・礼讃の歌などが披露され、子供中心の祭礼でした。日比谷公園の花祭りなどが代表的です。
一方、もともと日本には4月8日に登山し、花摘みや花見をして神を迎える風習がありました。長い竹の先に、石楠花(しゅくなげ)や躑躅(つつじ)などの花束をつけて庭に立てたりしました。また、この日は山の神や田の神を祀る行事もあり、豊作を祈願するのが本来の花祭りの姿だったことが伺えます。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
花祭りは敬虔な仏教徒の簡易的な催しに変化しています。もともとの山岳信仰に五穀豊穣祈願する催しと、釈迦誕生祭とが一緒になったものです。伝えられている主な行事は明治時代に入ってからのものが多く、平成の今日に至っています。
今年の花祭りには、東日本大震災、原発事故収束のメドがたって欲しいのもです。いまだに避難所暮らしの方や、仮設住宅暮らしの方には先の見えない日々が続いていることでしょう。花祭りを機会に早期収束を祈願したいものです。
筆者敬白