2025.04.19
4月

令和7年(2025)4月26日 奥州水沢「日高火防祭(ひたかひぶせまつり)」です。

■4月26日 奥州水沢「日高火防祭(ひたかひぶせまつり)」です。■

岩手県奥州市水沢区で行なわれる「日高火防祭(ひたかひぶせまつり)」は、300年の歴史を持つ火防祈願の祭りです。4月最終土曜日に実施されます。

江戸時代、留守家21代の水沢城主「伊達宗景(だてむねかげ)」は、少年時代、伊達公の名代として江戸にあったとき、「江戸の華」といわれる火事の多いことに驚きました。明暦3年(1657)、江戸の大半を焦土と化した大火災「明暦の大火(めいれきのたいか)」が起きました。俗に「振袖火事(ふりそでかじ)」と呼ばれたこの火災は、江戸の町の大半を焼き、死者数は3万から10万にものぼったと記録されています。

宗景は火災の恐ろしさを肝に銘じ、江戸での任を終えて帰郷するや、火防に万全の策を講じました。このとき、日高妙見社(ひたかみょうけんしゃ、日高神社)の「日」は「火」に、瑞山神社(みずやまじんじゃ)の「瑞」は「水」に通ずるとして、両社に祈願するようになりました。これが火防祭の始まりです。人智の不足不慮の羅災を、神仏の加護によって未然に防ごうとしたのです。

23代「伊達村景(だてむらかげ)」は、水沢城下で相次いで起きた大規模な火災に応じて、家臣を江戸に派遣し、町人のための消防組織「町火消(まちびけし)」の技術を学ばせました。そして、江戸のいろは組にならって6町にひとつずつ組を置き、民間消防隊「臥煙(がえん)組」を創設。これを記念する行事が火防祭の発祥ではないかという説もあります。

「火防祭」は、京の「祇園祭(ぎおんまつり)」を模した華やかな祭りで、 町組ごとに豪華絢爛に飾られた9基の「はやし屋台」が古趣あふれる音曲にあわせて街を練り歩きます。屋台の上には小太鼓の少女15〜20人、三味線の娘5人、笛(男3人)が雛人形のごとく乗せられてお囃子を奏で調子をとります。

あたりが夕闇に包まれる頃、JR水沢駅前を会場にすべての屋台がお囃子をいっせいに演奏する「揃い打ち」を行なったあと、屋台同士が仁義と礼をつくしての「相打ち」を披露します。

7つの音曲からなる「日高囃子」は、岩手県の無形民俗文化財に指定されていましたが、令和5年(2023)に祭礼全体の継承価値が評価されて「日高火防祭」が県の無形民俗文化財に指定されました。

奥州市水沢区出身の厄年を迎える男女で構成する厄年連は、25歳厄年連、42歳厄年連の2団体が前座をつとめ、祭りを一層盛り上げます。

日高神社(日高妙見宮) Twitter Instagram
◇岩手県奥州市水沢日高小路13番地
◇東北新幹線「水沢江刺駅」車10分
◇在来線「水沢駅」徒歩5分

◆日高火防祭(岩手県無形民俗文化財)-奥州市:https://www.city.oshu.iwate.jp/kanko/event/1/433.html

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

日高火防祭で繰り広げられる華やかな一大絵巻の背景には、江戸時代に相次いだ大規模火災との困難な闘いがありました。
奥州に春の訪れを告げるお祭りです。クライマックスは、夜に行なわれる「揃い打ち」。ぼんぼりの灯りのなか、古趣あふれる音曲にのせて各はやし屋台が華麗なお囃子を披露します。
4月の東北の夜はまだ肌寒いことが多いようです。
夜祭見物で風邪などひかれないよう皆様ご自愛の程
筆者敬白

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