■4月27日 奥州水沢「日高火防祭(ひたかひぶせまつり)」です。■
岩手県奥州市水沢区で行なわれる「日高火防祭(ひたかひぶせまつり)」は、300年の歴史を持つ火防祈願の祭りです。4月最終土曜日に実施されます。
江戸時代、留守家21代の水沢城主・伊達宗景(だてむねかげ)は、少年時代、伊達公の名代として江戸にあったとき、「江戸の華」といわれる火事の多いことに驚きました。明暦3年(1657)、江戸の大半を焦土と化した大火災が起きました。俗に「振袖火事」といわれ、この時の死亡者は10余万人を数えたと記録されています。
宗景は火災の恐ろしさを肝に銘じ、江戸での任を終えて帰郷するや、火防の対策に万全の策を講じました。人智の不足、不慮の羅災を、神仏の加護によって未然に防止しようとしました。
日高妙見社(日高神社)の「日」は「火」に、瑞山神社(みずやまじんじゃ)の「瑞」は「水」に通ずるとして、両社に祈願するようになったことが、日高火防祭の始まりです。
23代・伊達村景(だてむらかげ)の時代、享保20年(1735)水沢の大火の後、藩主は佐々木佐五平という家臣を江戸に派遣し、町火消組の機構や操作を学ばせ、江戸のいろは組にならって6町に1つずつ組を置き、町火消組を創設したと伝わります。
火防祭は、京都祇園祭を模した華やかな祭りで、豪華絢爛に飾られた9基の「はやし屋台」が市街地を練り歩きます。屋台の上には、20人程の幼女が雛人形のごとく乗せられ、太鼓と三味線と笛の音に併せて調子を取ります。
あたりが夕闇に包まれる頃、JR水沢駅前を会場に屋台同士が仁義と礼をつくした「相打ち」と「揃い打ち」が行なわれます。7つの音曲からなる「日高囃子」は、岩手県の無形民俗文化財に指定されていましたが、令和5年(2023)に祭礼全体の継承価値が評価されて「日高火防祭」が県の無形民俗文化財に指定されました。
奥州市水沢区出身で厄年を迎える男女で構成する厄年連は、25歳厄年連、42歳厄年連の2団体が祭の前座を勤め、祭を一層盛り上げます。
日高神社(日高妙見宮) Twitter Instagram
◇岩手県奥州市水沢日高小路13番地
◇東北新幹線「水沢江刺駅」車10分
◇在来線「水沢駅」徒歩5分
◆日高火防祭(岩手県無形民俗文化財)-奥州市:https://www.city.oshu.iwate.jp/kanko/event/1/433.html
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
日高火防祭で繰り広げられる華やかな一大絵巻の背景には、江戸時代に相次いだ大規模火災との困難な闘いがありました。
奥州に春の訪れを告げるお祭りです。クライマックスは、夜に行なわれる「揃い打ち」。ぼんぼりの灯りのなか、古趣あふれる音曲にのせて各はやし屋台が華麗なおはやしを披露します。
4月の東北の夜はまだ肌寒いことが多いようです。
夜祭見物で風邪などひかれないよう皆様ご自愛の程
筆者敬白