■4月29日「京都、壬生狂言」です。■
律宗の寺院「壬生寺(みぶでら)」は、正暦2年(991)三井寺の快賢僧都により創建され、小三井寺と呼ばれていました。正安2年(1300)、壬生寺中興の祖、円覚上人が仏の教えを身振り手振りの無言劇に仕組んだ「壬生大念仏狂言」を創始して栄えたと伝わります。
新撰組ゆかりの寺でも知られます。本尊は「地蔵菩薩立像」(重文)。
「壬生狂言(みぶきょうげん)」は、鎌倉時代からの伝統行事で、壬生寺で行なわれる「壬生大念佛会」で演じられる狂言のこと。正しくは「壬生大念佛狂言」といいます。「壬生さんのカンデンデン」という愛称で親しまれ、重要無形民族文化財に指定されています。
円覚上人が、悪疫祓いの為に「鎮花(はなしずめ)の法会」を行なったことから始まったと伝わります。鎮花の法会は、京都に疫病が流行ると、悪魔が花びらに乗って飛散し、人々を悩ましていると信じられていたことから、疫霊の心を鎮めるために行なわれました。
念佛の真意と功徳を大衆にわかりやすく伝えるための手段として、法会に狂言が用いられました。身振り手振りの無言劇に「持斎融通念佛(じさいゆうづうねんぶつ)」を仕組んだものを披露します。
すべての演者が仮面を付け、鐘・太鼓・笛の囃子に合わせて、一切の台詞を用いずに演じられ、勧善懲悪・因果応報の理を教える宗教劇としての性格を表しています。
境内の専用舞台に於いて、炮烙割(ほうらくわり)の狂言によって幕を開けます。足の運びに合わせて「ガンデンガンデン」と単調なリズムの囃子が入ります。
狂言は、朝・昼・夜の勤行のうちの「昼の勤行」として御本尊:延命地蔵菩薩に奉納されるものです。最終日の夜の部をもって「結願」とします。
壬生狂言は演劇の面でも発展をとげています。壬生大念仏講によって伝承されている壬生狂言は、本来発祥の宗教劇からレパートリーを広げて、現在では30番の演目があります。昭和51年には国の重要無形民俗文化財として、京都では第1番に指定を受けました。また、壬生狂言を演じる大念仏堂は、昭和55年に国の重要文化財に指定されました。
壬生寺
◇京都市中京区壬生梛ノ宮町31 (正門:坊城通り四条下る)
◇市バス「壬生寺道」下車 坊城通りを南へ200m
◇阪急電車「大宮」下車
◇嵐電(京福電車)「四条大宮終着駅」下車
◇公式サイト:https://www.mibudera.com
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
日本では、昭和の終わり頃まで文盲の方がいらっしゃいました。それはそれで幸せだったのかも知れません。文字を知り、コミュニケーションツールが発達したことで、あらぬ誤解や思惑が人の気持ちを惑わします。壬生狂言をご覧になることで、純粋な仏の教えに出会えることでしょう。
・・・請け売りのにわか説法でした。
4月29日から5月5日まで壬生狂言は期間中毎日演じられます。30の演目がある壬生狂言、どの演目が演じられるのかなど、お調べの上お出かけください。
読者の皆様、季節の変わり目です。お体ご自愛専一の程
筆者敬白