■4月29日~5月5日「佐賀、有田陶器市」です。■
2023年4月29日~5月5日、「第119回 有田陶器市」が開催されます。
明治3年(1870)ドイツの化学者ゴットフリード・ワグネルは、西洋の知識を伝えるため有田に滞在し、陶工たちは西洋の窯業知識に多くを学びました。そのひとつが石炭窯です。それまでは山の斜面に窯を築き、薪で焚く登り窯で焼成されていましたが、石炭を使って平地で焼くという日本で初めての試みが、ここ有田の地でなされました。これがきっかけとなって、明治後半から日本各地に石炭窯が広がっていきました。
また、有田で使う絵具の改良にも貢献。それまで有田焼に見られる藍色の文様は「呉須(ごす)」と呼ばれる中国の天然鉱物を使っていましたが、工業的に製造された「コバルト」という絵具の使用法を教えました。これを用いると呉須よりも鮮やかな色が得られ、自由に濃淡が調節できました。しかも、呉須よりはるかに安い絵具でしたので数年で全国に広まりました。
陶器市の歴史は、明治29年(1896)3月、香蘭社(明治7年設立の有田の磁器工場)社長・深川栄左衛門と、有田磁器窯業組合長・田代呈一の主催で桂雲寺で開かれたのが始まりです。以来、年1回開かれ、昭和23年(1948)からは4月29日から5月5日の会期となりました。
現在の陶器市は、大正4年(1915)陶磁器品評会の時、協賛行事として開催されていた「蔵ざらえ大売出し」が始まりです。初めはお遍路さん相手に窯元や商人が有田焼の半端物を売っていたものを、町青年会のリーダーを務めていた深川六助が陶磁店に呼びかけ、一斉に等外品の蔵ざらえ大売り出しを試みました。福引き券を発行したり、駅まで無料で荷物を運んでやるなどして盛り上げました。
戦前は品評会が主でしたが、今では陶器市が盛んになり、現在の「有田陶器市」に発展しました。町内約4kmにわたって有田焼の店など約700軒が並び、日本全国から70万人を越える人が訪れる規模となっています。
◆有田陶器市 公式サイト:http://www.arita-toukiichi.or.jp
開催地◇佐賀県西松浦郡有田町
◇陶器市の最寄り駅:JR九州、有田駅・上有田駅
◇期間中の臨時列車「有田陶器市号」や特急「有田陶器市みどり号」が運転
◇西九州自動車道、波佐見有田インターチェンジすぐ