◆二十四節気◆令和7年(2025)12月7日「大雪(たいせつ)」です。◆

12月7日6時05分「大雪」です。旧暦11月、「子(ね)の月の正節」で、天文学的には太陽が黄経255度の点を通過するときをいいます。

本格的に「雪」が降り始めるころです。平地では「木枯らし」が吹き、山の峰々は雪に覆われます。「暦便覧」には「雪いよいよ降り重ねる折からなれば也」と説いています。
これからの時期、日本海側と太平洋側では対照的な気候です。日本海側で「大雪」になれば、太平洋側では晴天になり、関東・中部・関西の平野部では乾いた風が吹きます。これは「冬型の気圧配置」のしわざです。日本海側に大雪をもたらすのは、シベリアや中国大陸から北西の乾いた風にのってやってきた雲で、暖かい日本海の上で水蒸気を含んでできる「雪雲」です。

大雪になる前、積乱雲が発達して「雷」が鳴り響きます。これから雪が降るという兆しです。むかしから、日本海側の地方では、「冬の雷」を「雪起こし(ゆきおこし)」と呼んで警戒してきました。北陸地方では「鰤起こし(ぶりおこし)」と呼び、北陸沖に回遊してやってくるブリの漁期を知らせる雷としてきました。
いよいよ「冬将軍(ふゆしょうぐん)」の到来です。冬の魚の「鰤」や「ハタハタ」の漁が盛んになり、山では熊や動物が「冬眠」に入ります。北のほうから順々に「冠雪」の便りが届き、南では冬の花「椿(つばき)」が花を開き、「南天(なんてん)」の実が赤く色づいていきます。
◆◆「七十二侯」◆◆
◆初候「閉塞成冬」(そらさむくふゆとなる)
◇天地の気が塞がって真冬となる。
◆次候「熊蟄穴」( くまあなにこもる)
◇熊が冬眠のため自分の穴に隠れる。
◆末候「鱖魚群」(さけのうおむらがる)
◇鮭が群をなして、河川を遡っていく。「鱖魚(ケツギョ)」は、鮭(さけ)、または中国に生息するサケ科の淡水魚のこと。

◆◆「12月の花」◆◆
「ポインセチア」 トウダイグサ科トウダイグサ属 学名 Euphorbia pulcherrima
アメリカの駐メキシコ公使「ジョエル・ロバーツ・ポインセット(Joel Roberts Poinsett)」が、メキシコからアメリカに持ち込んで広まったことからこの名前が付きました。ポインセチアは観賞用ではなく、茎を切ったときに出る白い乳液を解熱剤として使うなど、医療用に栽培していました。

欧州では、クリスマスに赤色(キリストの血の色)を飾る習慣があります。ちょうどクリスマスの時期に「苞葉(ほうよう)」(芽や蕾を包んでいる小型の葉)の赤色が最高に美しく、下葉の緑色と調和し、花のなかの蜜腺の黄色が金色の鈴に見立てられることから、アメリカから欧州にわたったポインセチアはクリスマスに飾られるようになりました。フランスでは「étoile de Noël」(クリスマスの星)とも呼ばれ、日本でもクリスマスが近くなると花屋に鉢物が並ぶことから「クリスマスフラワー」と呼ばれて、この時期の季語にもなっています。
日本には明治時代に渡りました。真っ赤な花が、大酒飲みの赤い顔に似ていることから、和名として「猩々木(しょうじょうぼく)」〔※〕と呼ばれました。
花言葉:「聖なる願い」「私の心は燃えている」など。深みのある赤い苞葉は「愛情」をあらわします。
※猩々(しょうじょう):古代中国以来のなかば想像上の動物で、明の『本草綱目(ほんぞうこうもく)』などに詳しく説明されている。顔は人間に似ていて、朱紅色(または黄色)の長毛でおおわれ、声は小児のごとく、また犬の吠えるがごとし、よく人語を解し、とくに酒を好むといいます。
中国の『礼記』〔※〕には、「鸚鵡は能く言えども飛鳥を離れず、猩々は能く言えども禽獣を離れず」(オウムは人間の言葉をまねてうまく話すが、やはり鳥でしかない。ショウジョウは人間のことばを上手に話すといっても、結局は獣にすぎない。:口先ばかり達者でも礼儀を知らなければ獣と同じだという意味)とある。
日本でも早くから知られ、とくに赤面赤毛のめでたい動物と考えられています。謡曲『猩々』は、海中に住む猩々が正直な酒商人に酌めども尽きぬ酒壺を与えたという話で、赤い頭髪と赤い装束が非常に印象的です。ここから転じて、鮮やかな深紅色を「猩々緋(しょうじょうひ)」といいます。「ショウジョウトキ(猩猩朱鷺)」や「ショウジョウバエ(猩猩蠅)」は、猩々の赤色や酒好きなところから和名が付けられています。
※『礼記(らいき)』:儒教の最も基本的な経典である「経書(けいしょ)」のひとつで、『周礼(しゅらい)』『儀礼(ぎれい)』と合わせて「三礼(さんらい)」と称されます。全49篇。『小戴礼記(しょうさいらいき)』とも。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

師走に入り、イルミネーションが街を彩り始めました。LEDの普及により点灯時間も長くなり、きらびやかで、しかも節電できるクリスマスの装いです。
今年もコロナウイルス、インフルエンザウイルスなどの感染症が流行しているようです。早めの予防接種をおすすめします。予防には手洗い・うがいが一番です。外出の際にはマスクをお忘れなく。
読者の皆様、時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白







